嫌いなわけじゃなかった
食いしん坊のせいか、食べられないものは無いのだが、苦手な食品はいくつか存在している。 苦手という表現も微妙で、「自らは選ばないもの」で「出されれば、残さない」一方、「美味しいとは思えない」とか「どうしてこれを食べているのか良く分からない」といった、案外複雑な入り混じった気持ちを抱く食品だ。
その中のひとつが「桜フレーバーのもの。」 塩漬けの桜の花や葉は大丈夫で、普通に美味しくいただける。 なのに、桜の香りだけを強調したもの・・例えば、桜ラテとか、桜シロップなどを利用した食品は、飲み込むのが辛い。 要するに、エッセンスの形で濃縮したり、人工的に合成したりされると、だめなんだろうと思う。 と、ここまで書いて、自分でも「あっ、そうか。」と思ったのは、抹茶でも同様のことが言えて、濃茶は美味しく飲むのに、抹茶風味のアイスやお菓子の一部には苦手なものが存在する。 ちゃんと桜の葉や抹茶だけを使って作ってもらえれば美味しいのに、そこに人工的なエッセンスを加えたものが苦手なのだ、きっと。 原材料費を節減するためには、色とフレーバーだけ添加するのが手っ取り早いのは、良く判るのだけれど。
香りに対する感覚はすぐに麻痺しがちで、どんどん使う量がエスカレートしてしまう。 人様に提供する料理を作っていた時には、かなり気にし計算していた。 食べ物の場合は、温度によって感じ取る香りの強さも変わるので、作り手にとって怖い。
近隣のソメイヨシノ。 花はすっかり散ってしまったが、明け方に暖かい小雨が降った後で、木の傍を通ったら、ふんわりと桜の香りがした。 散って道に落ちて朽かけている花びらからなのか、枝に残されているガクからなのか、それとも芽生えたばかりのホヨホヨした若葉からなのか、濡れた幹からなのか、そこまでは分からなかったものの、桜並木を歩いていて幸せな気分になった。 いじらない、そのままの状態ならば、やっぱり私は桜の香りも好きなんだなと、再確認できて、ちょっと嬉しかった。
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