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2005.01.31

「窯変 源氏物語」

ついに読み始めた。 橋本治氏の「窯変 源氏物語」を、だ。 現在2巻の「若紫」まで進んだところ。

どんな作家の場合でもそうだが、文体や表現の癖に読み慣れるまでに少し時間が必要で、はじめの内は読み進むのに時間がかかる。 しばらくして段階を越えると、その作家の文章体との付き合い方を体得して、すらすらと進むようになる。 今夜になって、どうやら私も橋本ワールドに馴染んできたみたいだ。

おもしろい。 それよりも、興味深いというべきかも知れない。 時々、物語の中に混じって、主人公の「源氏の君」に語らせるような形で、恋愛や人生についてのエッセンスのような短い、しかも濃い文章が出てきて、ドキッとさせられる。 大きく広がっている得体の知れない人間臭さを、バシッと的確に、ある意味において恐ろしいほどに要約し、濃縮し、しかも、私たちが普段何の気なしに使っている単語ばかりを使って表現してくるところに、橋本氏の並々ならぬ作家としての能力を垣間見る。 最近の作家の作品で、日本語の使い方にこれほど唸ったのは、初めてかもしれない。

この歳になってから、この作品に会うことが出来て、良かったと思う。 若い頃の、経験の浅い時代に出会っていても、多分投げ出してしまっていたのではないか。 そんな気がするのだ。

じっくり楽しみながら、読み進めるつもりだ。 じっくり、じっくり、自分を焦らすようにするのが、この物語には相応しいように思う。


余談になるが、表紙を見直した瞬間、去年の夏に他界した元TBSアナウンサーの林美雄氏のことを強烈に思い出して、同氏のアナウンスの声が脳裏をよぎってゆくのを覚えた。 なんだか無意識に泣きそうになった。 今まで血の繋がった人を含めて、また、職業上も、たくさんの人たちを見送ってきたというのに、どうして林氏の死だけが、いまだに自分に大きなダメージを与え続けているのか、自分でも理解できずにいる。 昔、「パックインミュージック」という深夜番組で、橋本氏の作品である「桃尻娘」をフィーチャーしていた林氏が、どこかで私を、この「源氏物語」と結び付けてくれたのかもしれないと、勝手に感謝したりしているのだが。

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