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2005.04.18

予測する力

父の転院が決まった。 リハビリテーションの専門病院へ移って、日常生活の訓練を受ける予定だ。 現在の医療保険システムにおいては、病院間の移送はフォローされないから、救急車を使う必要のない患者は自分で足を用意しなくてはならない。

父は現在、ある程度もたれかかることができれば座位つまり座っていることはできるようだ。 なので、そこだけを見たら、シートベルトを使ったり小さなクッションや枕などで調整すれば、自家用車での移動も十分可能と思われた。 が、この度のアクシデントで私が役立たずに落ちぶれてしまったので、転院の当日も『ますたあ』が独りで対応しなくてはならない。 入院中に持ち込まれた私物の片付け、会計、患者の移動・・もろもろの段取りを考え、また尚且つ、自家用車で移動中のこと、転院先の病院についてからの作業などを考えると、少々値段が張ったとしても余裕ある計画にしておくべきだろうという結論に我々は達した。 それで、現在入院中の病院のケースワーカーに介護タクシーの手配をお願いしておいたのだった。 もちろん、ケースワーカーにはその理由や「本来なら付き添うべき人間が松葉杖状態で役立たずであること」も説明してある。

先日、義父の面会から戻ると、ケースワーカーからの留守番電話が入っていた。 「当方で主治医と相談してみたが、患者は独りで座っていられるだろうとの見解なので、自家用車に乗せて移動してもらうことができると思い、介護タクシーは予約しないでおきました」とのこと。 「介護タクシーは予約が取れないこともある」と聞かされていたので、慌てて病院へ電話をかけ直して改めて予約を依頼した。 つまり、ケースワーカーは自分の病院内の状況は把握していても、実際の介護者の動き・リスクを予想できていなかったのである。 「先方の病院に着いて駐車場に車を納め、玄関に車椅子を借りに行く間、父は独りになるんですよ。 受付だってスムースに行われる保証は無いし、手間取るかも知れない。 その間にもし『何か』が起こったら誰が看ているんですか?!」と、私は言った。 ケースワーカーは自分の考えていたようにことが進まないし、予約の手間で仕事がひとつ増えたからであろう、明らかに不機嫌な声を出していたが、最終的には納得して介護タクシーを予約することに同意してくれた。

色々な場面で、リスクを予測する力は重要だ。 リスクが早期に予測できればできるほど回避が可能だし、対応も順調に進めることができる。 もちろん全てのリスクを完全に予測することなどできっこないにしても、チーム内のいろいろな目で様々な角度から、それぞれ自分の管轄内にあるリスクを考えておく姿勢が大事だと思う。 特に医療従事者の仕事の半分は、経過を予想した上での先手を取った対応だといっても過言ではない。 患者への医療的対応は、経過やリスクを計算し尽くした上での『観察』から始まるのである。 かつて口うるさく学生にそう説き続けた経験が、ケースワーカーに対して余計に私を苛立たせたのかも知れないが。

現状に即して考えてみる・・そのことに気付いてもらえたら良いのだけれど。 退院するまでに具体的にそれを彼女に伝えるべきかどうか、迷っている。(そんな場合や立場じゃないか?!苦笑。)

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