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2005.06.02

物相(もっそう)

物相などと書かれても、ご存知無い方のほうが多いかもしれない。 和食の調理人が使う「ご飯抜きの型」のことだ。 会席料理や洒落たお弁当などをいただくと、ご飯や混ぜ寿司が10センチ程度の梅や桜などの形に抜いてあることがある。 あれを作るときに利用する。 私が持っているのは扇の型。 結婚して一年経った頃にちょうど叔母に会う機会があり、何かプレゼントしてあげると言われたのでリクエストした。 何種類も持っていたってそんなに使う物ではないから、どんなシーズンでも使える型にしておくのが無難だろう、という話になり、一般的な花型ではなく扇型にした記憶がある。

型で抜いたご飯ものは、普通に盛り付けるのとはまた違う美味しさを持つ気がする。 例えばオムレツの下になるケチャップライスやチキンライス、押し寿司など、キュッと締まった感じが美味しい。 ご飯茶碗にふわっと盛り付けるのとは、別の種類のご飯と呼べるくらいに大きな差がある。 抜くのとは違うが、おにぎりも締まっている意味では同様で、「ひと手間かけました」とでも言ったら良いだろうか・・。 洋食でもソースに絡めて食べてもらう意味で、サフランライスなどをプリンカップで抜いて、煮込み料理に付け合せたりする。 あれもまた嬉しいものだ。

たまに予約をした上で昼食を摂りに来てくださる年配の方々などが居られるのだが、「年なもので若い頃のようにはたくさん食べられません」とおっしゃる。 そんな時にいろいろな種類を少しずつ盛り合わせて洋食の懐石料理風に仕立て、ご飯を物相で抜く。 ご飯の量そのものは、コース料理でお皿に盛り付けるのと対して変わらないのに、案外ペロリと平らげてくださることが多く、不思議だ。 印象の違いなのだろう、きっと。

物相なんて持っていないからと言って決して不便するような道具ではないけれど、時々使ってみると「料理の楽しさ」を思い出させてくれるような気がする。 木製ではなくステンレス製を選べば、手入れの心配はほとんど無用だ。 ひとつ1000円もしないので、何かの機会にでもおすすめしたい。

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