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2005.06.23

昔のケーキ

私がまだ幼かった頃、世の中には今のようにたくさんのケーキ屋さんがあった訳ではなかった。 どこの街にも、駅前商店街に一軒か二軒・・しかも、和菓子屋さんが片手間にショートケーキを作っているようなことも多かったし、第一、ケーキを食べるなんてそんなに頻回なことではなく、家族の誕生日やクリスマスなど出番はかなり限定されていたように記憶している。 生クリームも今ほど香り高い洗練されたものではなかったし、バタークリームもたくさん使われていた。 そして、ケーキ全体のデザインや素材の取り合わせ、味や香りのコンビネーションが、今のケーキのように凝った物ではなく、シンプルイズベストを地でゆくような商品ばかりだった。 イチゴの乗ったショートケーキ、モンブラン、オペラ、フルーツ入りのババロア、サバラン、スフレチーズケーキ、エクレア、カスタードプリン・・このあたりが主なラインナップで、名前を見ても味の見当がつかないようなケーキは皆無だったのではないかと思う。

あの頃のケーキには独特の味の濃さとフレーバーが存在していた。 現在の潮流のような「素材重視」ではなくて、どっしりと甘く、バニラもレモンも素材を使わずにエッセンスで香りをつけるような作り方。 たくさん食べたら飽きてくるくらいに存在感があった。 ケーキバイキングなんてもってのほかのような濃さが、身上だったのだろうと思う。

・・どうしてこんなことを思い出したかというと、実は今日、上で述べてきたような「昔のケーキ」に再会してしまったのだ。 「いまどきこんなケーキを作れる人が居たのか!」と、いたく感動してしまった。 あの濃さ、あの甘さ、あのフレーバーの使い方、奇をてらわないストレートな重たいケーキ。 決して流行りの味ではないし、決してたくさんは食べられない。 でも、一口食べた瞬間に懐かしい記憶が一気に押し寄せてくる味だった。 「ますたあ」も私も一瞬顔を見合わせて黙ってしまった。 「うわー!!こりゃ、ある意味凄いや。」 それだけで充分だった。 流通している冷凍ケーキではなく、ちゃんと厨房で作っているのが判る。(いや、トレンドを追いかける冷凍ケーキの会社が、こんな味をフィーチャーするはずもないだろうが。) 「どんな職人さんが作っているんだろう?」 「すごい年配の方かもよ。」 「レシピ、知りたいくらいだね。」 「あたし、この味のケーキを作れって言われても、きっと作れないと思う。」 「現在の素材を使ってこの味を作り出すのは、逆に職人技だよね。」 いやはや、脱帽であった。

お店の名前は「Sundorian(サンドリアン)」、沼津にあるベーカリーレストラン。 パスタやピザなどをメインにしたお店で、パンが食べ放題(こちらはあまり特筆すべきものではなかったが)、ドルチェはワゴンサービスから好きな物3種を選ばせてくれた。 お昼時の店内は奥様方のランチ需要で賑わっており、そこそこ年配の方が目立っていたような気がする。

甘いものにうるさい方には、「昔のケーキ」の勉強にぜひ一度お勧めしたい。   

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