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2005.06.22

さすがは「おフランス」

以前にも書いたが愛用している万年筆はWATERMAN社製である。 単語の字面だけ見ると英語圏の国のように見えるWATERMANは、実はパリの会社だ。 今朝ちょっとメモ書きしようとしたらインクが出ない。 カートリッジを覗き込んだらすっからかんだった。 そのままインクカートリッジだけを差し替えても良かったのだが、気が向いたのでペン先をきれいに洗うことにした。

ペン先と本体の細い隙間には、どうしても汚れがたまる。 多分埃がインクで濡れてこびりついてくるのだと思う。 大方の汚れを蛇口の下で洗い流した後、こびりついた汚れを緩めるために、パイレックスのガラスの計量カップに水を入れて沈めておいた。 さて、昼食を作ろうと厨房に行くと、ペン先に残っていたインクが滲み出て、水の色がきれいに染まっている。 なんともいえない深みのある赤紫色。 しかも透明感があって、何も知らなかったら「とっても美味しそうな色」だ。 ガラスの容器に入れておいたから、余計にそう感じられるのかも知れない。 しばらく窓にかざしてウットリ見とれてしまった。

私が普段使っているのは黒のインクだ。 子供の頃から黒インクが黒色だけで出来ているのではない事は知っていた。 例えば水性のサインペンで紙に何か書き、それを霧で湿らせると(簡単なペーパー・クロマトグラフィーですな)、全く別のいくつかの色が現れてくる。 主に藤色、オレンジ色、ちょっとピンク色、そして黄色。 これらが混じり合って「黒に見えている」だけなのだ。 以前、日本のメーカーの万年筆を愛用し黒インクを使っていた時も、ペン先を水に浸して洗ったことがあったが、その時は穏やかな青に近い藤色だったのを記憶している。 WATERMAN社製の黒インクは、それに比べたら赤い色の成分が多いのだろう。そして全体が暗くどっしりとした重たい感じだ。

「これは、赤ワインの色にかなり近いぞ」と、思いながら、計量カップを覗き込んでいた。 さすがはフランス、ワインの国だ。 色彩感覚ひとつをとっても、まるで身体の中を巡っている血のように、ワインが染み込んでいるお国柄なのかも知れない。 さすがだな・・と、フランスの底力を見たような気がして、唸った。

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