« お茶漬けの素で | トップページ | 梅シロップ »

2005.06.28

不愉快の理由

はじめに断っておく。 私は個人として脳死判定後、または死後、臓器移植のドナーになることを希望している。 ドナーカードを持ち歩いているし、アイバンクや脳下垂体バンクへの登録も済ませてある。 私の臓器の状態が移植に適さない場合は、献体として扱われることを希望しており、どうなるかわからないがパートナーにもその意思は伝えてある。 臓器移植医療については、今のところ肯定的に捉えている。 最終的に人が死ぬか生きるかは人が決めることではなく、病状に係らず生かされる人は生き、あの世に招かれる人は死ぬ、そんな風に位置付けている。 だから、できるできないは別として、生きている人はなるべく完全に健康状態に近づける価値があると思う。 そこには個人の考えや医療の存在が活用されるべきとも思う。

昨夜、お風呂上りに何気なくつけたテレビで、臓器移植しか残された道の無い重い心臓病の女性への寄付金を募っていた。 渡米し治療を受けるのに9500万円必要だという。 この手の話題は時々メディアを賑わせる。 テレビでの募金活動も目にする機会がそこそこある。 しかし、私はどうも腑に落ちない。 どちらかといえば不快なのだ。 この独特の不快感は一体どこから来ているのか、自分でもよく判らずに曖昧にしてきたのだが、真正面から暫く考えてみようかと思い、不快な気分を受け入れてテレビを見ていた。

私の元には時々ユニセフから募金を要請する手紙が届く。 季節のご挨拶に使うポストカード等で、ユニセフの通販を利用しているからだ。 ふと思い出して、つい最近送られてきた手紙を見直してみた。 そこには、ユニセフにいくら募金したら、そのお金で何ができるかが書かれている・・ 13円でポリオ予防ワクチン1回分、64円で 1錠で4~5リットルの水を浄化できる浄水剤50錠、1284円で緊急事態下の栄養不良の子どものために特別に開発された高カロリービスケット20箱(包み)、64万2000円で緊急保健キット1キット。1キットの中に、緊急時に必要とされる医療用品・器具1万人分(3カ月)が入っている。

女性一人の最新医療のために9500万円かけるのと、ユニセフが戦渦の子供たちに与える最低限の医療で9500万円使うのと、どちらが優先されるべきなのだろうか。 ・・私には何も言えない。 比べてはいけないことなのかも知れない。

でも、メディアに取り上げられて共感を集め、すぐに何千万もの寄付金が集まってしまう人もあれば、地道に真っ当に生きながらも、お金が足りないばかりに移植を受けられない同じ病気の人もいて、もっと言うと地球のどこかでは戦争や日本で暮らす人にとっては「なんでもない感染症」で、たくさんの人達が亡くなっているのも、また事実なのだ。 この差はなんだ?、誰が決められるのか、誰が選べるというのか。

幸せも生きることの価値も、他人と比べることはできないだろう。 ましてやそれすら人が築き上げてきた「お金」というものに支配されているとすれば、空しくて哀しいことだと思った。 お金を寄付することの裏に、どういう意味があるのかを考えて募金している人が、果たしてどのくらい居られただろうか。

貨幣経済を否定する気は毛頭ない。 私だってお金によって暮らし続けている。 ただお金によって人の命が左右されている現実をどのように捉えればいいのか、途方に暮れているだけなのだろう。 意図は無いにしても、善意という大義名分でお金を簡単に集めてしまうメディアの力も恐ろしいし、その力もお金で買えることがもっと恐ろしくもある。

簡単に結論はまとまらないが、自分なりにテレビを見ながら考えたことを書いてみた。 清水貴美子さんというシナリオライターをなさっている方のブログに、私が見たテレビ番組のことが書かれていて、「この方のような感覚がどう考えても一般的な共通認識なのだろう。」と、つくづく・・。 やっぱり私は冷酷な人間かも知れない、と思った。

|

« お茶漬けの素で | トップページ | 梅シロップ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 不愉快の理由:

« お茶漬けの素で | トップページ | 梅シロップ »