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2005.07.20

「普通」の概念

去年の夏もお泊りいただいたお客様からご予約の電話をいただく。 小学生のお子様の食事についてのリクエストをお持ちのようだ。
「ノーマルなものしか食べないんですよ。」と、おっしゃる。
「は?」 メモリアの料理はアブノーマルなのだろうか?と、ちょっと考える。
「ノーマルなものしか食べてくれないんですね。」
「ノーマルなものですか?」・・私の頭の中を『?』が駆け巡る。 困ったな。 相手が何を伝えたいのか解らない。 失礼なのは百も承知で、思い切って尋ねてみた。 「あのー、別の表現でお願いできますか?」
「えーっと、普通のものしか食べない子なんです。」
・・余計に解らない。 これでは埒があかない。
「普通のものって、例えばどんなメニューのことを指しておられますか?」
「普段食べているようなものなんですけど。」
正直に言うと、私も心底困ってしまった。
「ええと・・じゃあ、お子さんのお好きなメニューってどういうものですか?」
「ハンバーグですね。」
「じゃあ、ハンバーグは普通のメニューだと考えてよろしいんですね。 他には?」
「うーんと、ハンバーグぐらいしか・・普通のメニューなら大丈夫です。」
「ごめんなさい、●●さんがおっしゃる『普通』という単語の概念が私に通じないんですよ。 だから『普通のメニュー』がどんなものか解らなくて困っているんですけれど。」
「ああなるほどですね。 ノーマルなものと考えていただければ良いんですけど・・」
お手上げだった。

それからしばらくすったもんだして大いに苦しみながらも、いくつかの情報を聞き出して、お客様の言っている「普通」について私なりに解釈すると、つまり、味付けが複雑でなく、単純な調味料を使った単独の素材の料理らしいという結論に達した。 「じゃあ、ハンバーグは違うじゃないか」という疑問は残るが、きっとファミリーレストランのお子様プレートにのっているようなものなら大丈夫なのだろうと、ここは憶測することにした。

「ノーマル」と「普通」の単語の間を行ったり来たりしながらつくづく思ったのは、単語の概念を相手に伝えるのは難しいということだった。 私はメモリアの料理を「普通じゃない」と思って提供したことが無かったし、実際に賄い食として同じメニューを食べることもあるので、これが普通だと思っていた。 お客様の考えている「普通」がどんなもので、自分の「普通」とどこが違うのか、ギャップを埋めるのにてこずったわけだ。

電話を切ったあとで、国語辞典を手にしてみた。 「普通」は「広く一般に通じること」だそうである。 読みながら苦笑した。

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