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2005.08.06

開き直り

今年の夏は良くも悪くも精神的に持っていたボーダーを卓越してしまったので、Memoriaにいらっしゃるべきでないお客様の予約は、電話の段階でことごとくお断り申し上げている。 少し前までの私ならば、予約をお断りすることは大きなストレスだったし、電話を切ってからも暫く悶々としたものだ。 だが、今は違う。 宿泊客の方々が気分良く旅行できる権利を守るために、申し訳ないが切るべきところは切らせてもらっている。 傲慢かも知れない。

夏の初めに小さな事件が発生した。 社会の変化、もしくは常識の変化なのだろうとは思いつつも、とあるお客様のとった行動が私はどうしても許せなかった。 対応していない施設の設備や、Memoria運営のソフトウェアに問題があるのだろうと考えるべきではあるが、社会の変化・常識の変化に合わせて多額の投資をすることを追求するつもりもないし、投資したお金を料金に上積みして宿泊客の方々から取る気もしない。 だとしたら、そのような方々は利用をお断りするしかないという結論に達した。

宿泊業は見ず知らずの相手を自分の建物に招くので、相手を信用することが前提にある。 そんなたいそうな事では決してなくて、ごく普通の相手ならば安易にクリアできるレベルのものだ。 Memoriaが未だに電話の直接予約しか受け付けないのも、理由はここにある。 直接会話することで最低限の信用関係が築けることを確認しているのだ。 旅行代理店経由の名前と住所しか知らされないような予約代行システムや、第三者に成りすますことを完全に見抜けないネット予約では、他の宿泊客の方に対する責任をとるだけの自信も根拠も無い。 それでもそのようなお客様にも対応できるだけの設備や施設、ソフトウェアや人材が確保できていれば問題は無いだろう。 しかし、Memoriaのような家族経営の小さな宿では、とても限界がある。 投資できる額も限られる。 夏の初めの小さな事件のおかげで、私は暫くの間、宿泊客の方を信用することができなくなってしまった。 仕事の熱意も失せ、何よりもそんな自分が哀しく辛かった。

残念ながら以前から、こちらの信用を裏切るような行動に出るお客様のパターンは決まっていて、そこだけをカットさせてもらえればリスクがかなり軽減できることも解っていた。 ただ、経営上不利になることは否めないので、踏み切れなかっただけだ。 そして、ついにそのボーダーを私は超えることにしたのだった。

皮肉なものでボーダーを越えて開き直ったら、気持ちの上でちょっと余裕ができた。 自分自身が責任をまっとうできる仕事の限界を見極めて、残念に思っても線を引くことだって時には大事なのだということを、ひとつ学んだ気がしている。

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コメント

> 自分自身が責任をまっとうできる仕事の限界を見極めて、残念に思っても線を引くことだって時には大事なのだということを、
>ひとつ学んだ気がしている。

同感ですたい!
限界を見極めるのが甘かったり、ラインの引き方に迷いが生じたりしないよう、思い切らなきゃいけないんですよね。
私もただいま、仕事減量中です。

投稿: かおる | 2005.08.11 18:52

かおるさん、ありがとうございます。
線引きすることには抵抗があったのですけれど、実際に線引きしてみたら、逆にすっきりと割り切れちゃいました。 自分でも意外な感覚でしたね。 この快感、癖になってしまいそうでちょっと怖いです。

かおるさんも「何事にも全力投球しないと気が済まないタイプ」でしょうか? ・・そうなんですね、ボーダーが曖昧だとかえって回りに迷惑がかかりますから、思い切ることがポイントかもしれません。

お互い、あまり背負い込まないように気をつけて、ボチボチといきましょうか・・。

投稿: リーボー | 2005.08.11 20:55

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