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2006.02.17

只者ではないとお見受けした

ある日、眼科にかかって帰宅した『ますたあ』が、「今度リーボーにも見せたい人を見つけた」と、言った。 「会わせたい」のではなく「見せたい」とは?と、話を聞いてみたら、小さな調剤薬局のオヤジが独特の雰囲気を醸し出しているらしい。 「一度見てみる価値がある」とまで言う。 ならば是非とばかりに、二人で出かけた日に点眼薬を受け取りに行くことにして、私も店内に入ってみた。

よくある調剤薬局で、小さな待合室の向こうにガラス張りの調剤室。 その向こうでは白衣姿の若い薬剤師さん数名が、手際よく作業をしているのが見える。 入り口の真正面には、患者に薬を渡したり、説明したり、代金を受け渡しする低いカウンターがあって、そこに噂の人が座っていた。 見た途端に「『ますたあ』が言っていたのは、この人だな!」と、疑いようも無いすごいインパクトである。

何がすごいって、多分70を越えているような痩せ型の男性、端的に言えばおじいさんなのだけれど、白髪の髪を肩まで伸ばし、白衣を着て、眼光鋭く店内を見渡している感じ。 威圧感とまではいかないながら、「自分には自分の世界があります」みたいな圧倒的な存在感を放っている。 長髪だが不潔ではなく、薬剤師さんらしい雰囲気だと言えなくも無い。 背筋をまっすぐ伸ばして、椅子をカウンターに対して斜めに置いて、片方の腕をカウンターに乗せ、まるで、バーカウンターと勘違いしているような座り方。 全体から受ける印象は、古くから漢方薬局を営んでいるオヤジだ。 やった人にしか解らない書き方をすると、『ハッピー・ホテル』という名前のホテル経営シミュレーションゲームに登場する、上海の市場の漢方薬屋の主人に瓜二つである。

とにかく、何も知らない人がドアを開けた途端、正面にその人を見つけたら、思わず帰ってしまうかも知らない、と、私は本気で心配した。 しかも、店内のテレビモニターには謎めいた環境ビデオが流され、手書きのポップ(例えば『足がつって眠れない方、ご相談ください』とか『冷え性には○○』とか。)も、上手いとはいえないが毛筆の肉筆。 新築の薬局にありがちな、明るいクリーム色の壁紙や採光も十分な店内のイメージとは逆行するような、なんとも言えない違和感・・。 思わずキョロキョロしてしまって、落ち着かない。

そんなこんなで、期待を裏切らない噂どおりの人で、『ますたあ』と私の間では、ちょっとした有名人に成り上がってしまっていた。

ところが、先日またその薬局に薬を取りに行った『ますたあ』が、なんと、彼の指定席であるカウンターの奥に、フォークギターを発見して帰ってきた。 「あそこに置くってことは、アノ人が弾くんだよね、きっと・・?!」 私の頭の中では、例の長髪のおじいさんが、サイケデリックな色使いの服を着て、バンダナをはちまきのように巻き、フォークギターを抱えて歌う様子が浮かんでくる。 まるで、アイフルで「間違えた~♪」といっている彼のように。 

「レゲエとか似合いそうではあるけれど。」
「ジャマイカで朝からラム酒飲んで、歌ったり踊ったり・・ちょっと『いっちゃってる感じ』??」
「でも、あの年齢だとフォークソングだよね、きっと。」
「歌声喫茶系か。」 
「薬局の待合室で、お年寄りがみんなで歌ってたら怖いかも。」
「昼休みとかに、やってるのかな?」
「若い薬剤師さん達、聞かされちゃってたり?」
想像は果てなく・・。

あの風貌といい、フォークギターといい、きっと只者ではないとお見受けしているのだが。 さてどうやって確かめれば良いか? 直接尋ねるほどの勇気もまだ無く、困っている。 

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