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2006.03.17

問題は何処にあるか その2

ちょっと離れた街にある地ビールレストランへ、足を伸ばしてきた。

ビールは普通に美味しかったし、頼んだおつまみ系の料理も普通に美味しかったのだが、お店を後にしてから何か『それ以上の満足』を感じている自覚があって、不思議に思っていた。 別に特別安い訳でもなかったし、原価率から考えても相応の値段だろう。 お店も小ぎれいではあるものの、特筆すべき造りという訳でもない。

自分の中で導かれた結論は、接客対応が「都市部のマナーに近い」ということだった。 お客と会話する時の日本語の使い方や接客の姿勢が、東京で日常的に経験していた『それ』にとても近かったのだ。

語弊があるかもしれないが、敢えて書くと、過疎地の飲食店は地元の顔見知りの人達が主なお客さんなので、接客態度も会話も『なあなあ』になりがちで、逆に、その辺りのことをきっちりとしていたら、「水臭い」とか「気取っている」とか言われるし、地元の人達にとっては居心地が悪いから、商売をやってゆけなくなることが多い。 メニューも田舎の人が好むような内容になるし、麺類は欠かせないし、もっと言えばお座敷に作り直すケースにもたくさん遭遇した。 それはそれで決して悪いことではないし、現にそのようなお店に好んで通うお客が多いのだから、当たり前のことだとは思う。 顧客のニーズに即していると言えるだろう。 しかし、『なあなあ』が高じて、だんだん『いい加減』の域に達しているケースも多々見かけられ、そのことへの自覚が乏しいから、いろいろな層のお客を相手にせざるを得ない都市部の飲食店との差は、ますます広がってきている。 それに飲食店の数が少なくて競争が無いから、いい加減な料理でいい加減な接客でも、値段だけは都市部並みだったりして、どうも納得しかねる場合もある。 それでも他に店が無ければそこに行くだろうし、私のように納得できなければ自分で作るしかないのだ。 だから、都市部から来ている方に外食のお店を尋ねられると、紹介するのに困る。 田舎っぽい感じに価値を置く方なら、それでも紹介のし様もあるのだが、残念ながらそういう方はあまり多くは無い。 または、その方の予想の範疇を超えて田舎っぽく、着いて行けなかったというリアクションを返されたりもする。 私自身の感覚もだいぶ鈍化しているに違いない。

今夜の地ビールレストランは、その点においては非常にしっかりしていた。 商品に対してどのホール係に尋ねても、適切な言葉で適切な答えが返ってきたし、店員と客がきちんとした距離と緊張を保ちながらも、尚且つ親しみやすい気軽さも兼ね備えるだけのバランスを身に付けていた。 そのことが私の中の大きな評価だったのである。

なんでもないことだが、きちんとお客さんの目を見て会話すること、会話に内容を的確に把握して的確に反応すること、そんなコミュニケーションとして最も基本的な部分が出来ていない人が、お店に出ていることも、この辺には多い気がする。 教育の問題なのか、環境の問題なのか、社会勉強の不足か、外部の血が混じりにくくて『なあなあ』なためか、ずっと疑問なのだが、何せ総合的な問題だけに結論が絞れない。 まさにその部分を何とかしようとして、結局どうにも出来なくて、諦めの状態になっているのが、私がこの町のstrengerたる所以かもしれない。

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