大人の遊び
ちょっと前から「大人買い」という言い回しが、一般的に使われるようになっている。 単品で買うと決して高価なものではないのだが、幼少時代にはそんなに頻繁に買えなかった文房具や玩具やお菓子などを、ばばーんとまとめ買いすることを指す。 例えば駄菓子を箱ごと買うとか、カプセル入りの玩具の自販機で売切れるまで買うとか、そんな感じだ。 自分で働いて稼いだお金を一万円も用意すれば、相当の量が思いっきり買える。 「これ、あの頃、欲しかったんだよね」とか言いながら。
朝帰りも大人しか出来ない時間の使い方だ。 子供の頃には時間を自分の使いたいように振り分けることはできないし、許されてもいないから、たかがラジオの深夜放送を聞くのだって大変だった。 自分の安全を自分の責任で守り、自分に課せられた社会的責任を自分でまっとうできるなら、それと引き換えにある程度の自由が生まれる・・それが、大人の遊びの根本だろう。
東京に行った際には、空が白々としてくる早朝に恵比寿の街を歩きながら、「いつのまにか大人になったもんだ」と、しみじみしてしまった。 タクシーに揺られながら、大人になって失ったものと見つけたものを比べていた。 ♪大人になるのは悪いことじゃない、という伊藤銀次さんの曲が頭の中に流れていた。 明治通りは相変わらず地下鉄の工事でボコボコだ。 確か私達が新宿で暮らしていた時から工事は始まっていたはずで、鉄板で工事現場を蓋した上をタクシーが通る度に振動が伝わってくる。 疲れが出てぼんやりした頭の中、ふと自分が昔にタイムスリップしているかのような、錯覚に襲われた。 時間軸がちょっとだけ歪んだような感覚が快感だった。
明日から私は、言葉は悪いが「騙されに」出かける。 貨幣経済について考えさせられることになるだろうし、「ブランド力(りょく)」と呼ばれるものについて、傲慢さを見せ付けられることになるのかもしれない。 そういったものに全く興味を示さずに、どちらかと言うと避けて暮らしてきた私には、この企画は立派な研修旅行であると同時に、他の見方においては大人の遊びの範疇だろうか。 なるべくまっさらな状態で、現実を楽しんでこれれば、と、思っている。
どんなご報告ができるだろうか・・??
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