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2006.04.03

東京で何をしてきたか その1

お葬式においての「流れ」と言うか、進行の順序は大抵どこも同じようなものだが、宗派やご遺族の意向によって細部には若干の違いが生じ、それによって参列者の印象もずいぶんと変わるものである。 今回のお葬式では、故人が眠っておられる棺の中に、参列した人がそれぞれ花を手向けて、ご遺体を花で埋め尽くすような方法がとられ、皆が最後にご遺体のお顔を拝見しながら、お別れをすることが出来た。 もう、その段階においては故人の魂は仏となっているらしいから、仏教的にはお香を焚きながら手を合わせて祈るのが、本来の方法なのだろうけれど、どのような形であっても、実際にご遺体の傍でご遺体を清める作業に参加させていただけるのは、参列者としてありがたいことのように思われた。 お別れには、「実感できる儀式」も大事である。

亡くなるまでの長い間、もうずいぶん前から意識がなかったそうで、ご遺族の方も「覚悟していたし、こちらも心の準備が出来ました。」と、言っておられ、故人のお顔も穏やかで、少しほっとする。 命の期限そのものは人間が決めることではないと思うが、一方で、死にたくても簡単には死なせてはくれない世の中だから、現場で妙な捻れが生じていることもまた事実で、表面化した人工呼吸器を外した某外科医のニュースなどを思い出して、いろいろなことを考えさせられていた。

さて、今回は真言宗のお坊さんがお経を唱えておられ、葬儀は自宅ではなく、葬儀社の建物を使って執り行われた。 金ぴかに輝く袈裟を身に付けたお坊さんが、大きな水晶の数珠を身に付けておられる様子はなんとも立派だったし、お経を唱える時の声も朗々としていて、意味の解らない私にも、十分ありがたい感じが伝わってきていたのだが、近くにいると「どこか変だな?」という印象があって、まるで間違い探しのようにじっくり拝見してしまった。 かと言って、お坊さんの正しい装束など細かく知っているわけもなく、諦めていたところ、読経の途中で、椅子に座っていたお坊さんが立ち上がる機会があった。

・・解ってしまった! 足元。 お坊さん、スリッパを履いていて、そのスリッパが袈裟と同じように金ぴかで、菊の花などの刺繍がなされたひどく立派なスリッパなのだ。 多分「お坊さん用」の市販商品があるのだろう。 ご遺族も参列者も靴のままであったが、お坊さんだけはいつの間にか立派なスリッパに履き替えていたのである。 ご自分で持参されたのか、葬儀社が貸し出しているのか、知る術もないが、なんだかアンバランスな感じだし、「世の中ではこんな商品も作られているのか」、などと内心驚くやらで。 いつか某テレビ番組で見た「卒塔婆専用プリンター」にも驚かされたのを思い出し、仏教用品も奥が深そうだ、と、興味を持った次第だ。

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