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2006.05.23

読める文字・読めない文字

義父の荷物を片付けている中で、額縁に収められた「書」がたくさん出てきた。 私には書道の心得が全く無いので、書かれている文字が草書だ、というくらいしか解らない。 要するにちんぷんかんぷんで、価値があるのか無いのかも、皆目見当が付かない。 サラサラと毛筆で書かれた優しげな文字は、それだけでなんとなく「良いもの」のような気もしてくるのが不思議なところだ。

汚れた表面のガラスや、額縁を掃除しながら『ますたあ』が言う。
「こんな色紙だったら、僕は『もずく酢』の方が良いな。」

・・『もずく酢』とは、フジテレビの番組『みなさんのおかげでした』の『新食わず嫌い王決定戦』で、対戦相手の嫌いな食べ物を指定する時にゲストが書く色紙の話。 毛筆で食べ物の名前を書いて、自分のサインをつける。 それが対戦の後で視聴者へのプレゼント品になるのだ。

どうせ当たらないんだから、と、冗談で私も何回か応募したことがある。 お気に入りのゲストが出演した時に。 だが、万が一、当たってしまった時のことまで真剣に考えていたわけではない。 実際に「もずく酢」とか「イクラ丼」とか「とろろ汁」なんて書かれた色紙を突拍子も無く飾るのも変だし、来客のたびに「これ、何?」などと突っ込まれるのは必至なことを思うと、それだけで面倒臭さ大爆発だ。 結局しまい込むのが関の山になりそうな気がする。 せいぜい何年か経って見飽きてから、オークションに回すか・・?

『ますたあ』の一言から、頭の中でいろいろ想像してしまった。

50年くらい経って、私たちのひ孫くらいの代・・ある家の中で、若い家族が家の奥の押入れを片付けていて、謎の箱を見つける。 埃を払って蓋を開けると、額縁の中に収められた色紙が一枚。
「何の色紙だ?」
「何だろう??」
「しかも、『もずく酢』ってどうよ・・??」
「誰のサイン?」
「さあ・・??」
考えてみただけでも、笑える光景だ。

読めない書も困るが、『もずく酢』だって困るよ、やっぱり。

この手の種類のものは価値が人によって違うので、本当に難しい。

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