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2006.09.24

餅撒き(もちまき)

10年以上前に東京から山の中に引っ越してきて、異なる文化に触れ、たくさんの新しい経験をさせていただいている訳だが、その中のひとつが「餅撒き」。 東京で育ってきた中では、見たことがなかったのだ。

新しく家を建てる際の棟上式などで、家主が一番高い所に登って、小袋に入れた紅白の餅を撒く、というのが一般的なようだ。 そして、ご近所の方や親類などが、投げられた餅を我先にと拾うのである。 と、ここまでは、実際に見たことがなくても知識として頭の中で理解していた。 ところが、である。 この辺りでは棟上式以外にもなにかと「餅撒き」が多い。 たとえば、市が行う行事の〆(しめ)として、また地域のお祭りの最後にも、そして、大きなイベントのおしまいには決まって「餅撒き」で、これがまた異様なほどに盛り上がる。 行事やイベントではプログラムが組まれているから、「餅撒き」が何時にどこで行われるかも事前に知ることが出来る。 30分前くらいになると、「餅撒き」の会場に人が集まり始め、押すな押すなの大騒ぎ。 子供も大人も袋を広げたり、エプロンを持ち上げるようにして受け皿を大きくしようとしたり、みんな形相が変わってくる。 「餅撒き」が始まると、それはもう、凄い勢いでの取り合い!! ほら、軒先に作ったツバメの巣に親鳥が帰ってくると、ヒナが大きな口を広げて目一杯背伸びをしてエサをねだる・・あれが会場一面に広がっていると思えば良い。 恐ろしいというか、私など圧倒されっぱなしだ。

撒かれる物は大抵は紅白の丸くて平べったい小さな餅。 (個別包装のお菓子やキャンディーが混じることもある。) それも、お世辞にも餅としてはあまり美味しくない。 もって帰った所で、焼いて食べるかせいぜいお汁粉でも作るか、そんなところである。 餅が珍しかった時代ならともかく、今では一年中手に入るし、さほど貴重な食べ物とも言いがたい。 それに比べて、あの盛り上がりようは何なのか、ずいぶんとアンバランスな印象を否めない。

まあ簡単に言えば「縁起物」ということなのだろう。 調べてみたら、どうやら神道の考え方に由来している風習だそうだ。 餅を拾って手に入れることは、即ち、ご利益を得るのと同様らしい。 一方で、厄を撒き散らして餅を拾う人に身代わりに持ち帰ってもらう、なんていう意味もあるのを知ると、なんとも妙な気分。

今日は市で「健康福祉祭り」という大きなイベントがあって、某NPO法人のお手伝いに参加してきた。 お祭りの最後は、お決まりのように「餅撒き」であったが、私は、いつも「餅撒き」に集まっているあの群集のパワーを目の当たりにすると、どうも引いてしまうのである。 今日も「餅撒き」には参加しなかった。 お気に入りのロックバンドのライブの盛り上がりの上をゆく、ちょっと怖くなるほどの感じだ。 ・・内心引きながら客観視している不思議な文化のひとつである。

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