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2006.11.25

郷に入れば

いきなり玄関のインターホンが鳴り、出て行ってみたら、知らないオジサンがドアの小窓から中を覗きこんでいる。 いかにも「山仕事の途中です」と服が語っているような格好で、まあ簡単に言えば泥だらけでどうなっても後悔しないような汚い作業着姿。 後ろにはエンジンをかけたままの軽トラック。

相手が顔をぶつけないようにとゆっくりドアを開けるやいなや、大声でいきなり「しし撃ってるだーよぉ。 こっちは出るかね。(『ね』のイントネーションは下がる。 同意を求めるように上がるのではなく、下がるのがこの辺りの発音。)」 ・・標準語に訳すと「私はイノシシ猟をしている者で、狩りの途中です。 お宅の庭にイノシシは出没していますか?」となるか。 先週辺りまでは夜な夜な来ていたようだが、ここ数日は来なくなった、というような内容で対応する。

こういった来訪者にも驚かなくなったし、言葉も聞き取れるようになったし、イノシシの事にも答えられるようになった自分の姿に、なんだかちょっと違和感を覚えながら、「これもある意味においては成長なんだろうか?」と、首を傾げた。 今では今回のようなオジサンの姿よりも、街ナンバーを付けたレクサスが乗り付けられた時の方がよっぽど身構える・・。

人間の適応性ってすごいかも。 未だにここでの日常の様子にどこか不思議な感覚を抱いている自分に、くすっと笑ってしまいながら、坂道を帰ってゆくオジサンの軽トラを見送った。

落ち葉を巻き上げながら軽いエンジン音を残して、秋が遠のいてゆく。 冷たい風が吹いて、身震いをしてふと我に返り、「ああ冬が来るな」と、思った。

 

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コメント

え? 猪が庭に出没するんですか?
自分には想像しにくい日常生活ですね。
最近、つくづく思うのは、「東京=日本」ではないな~ということです。
もっと地方の生活を良し悪し含めて報道とかしないといけないのでは、と思います。

投稿: 哲人30号 | 2006.11.26 11:59

ハイ、出ますよ! 鹿もキジも狸もハクビシンも蛇もリスも、「びっくりおもちゃ」のようなクモや大ムカデも。 コンビニなんて歩いて行ける距離にはありませんし・・。 たまの旅行でこういう場所にいらっしゃるなら、転地療法のすごい効果が期待できると思いますが、生活となると慣れるのに根性が必要かもしれません。(笑)

そうです。 教育環境も親子関係も地域社会の構造も、そして、優先される価値観も、全て東京のものとは違います。 最近「タウン・ミーティングのやらせ問題」が話題になっていましたが、やらせでも雇わないと人が集まらなかったり意見が出ないような素地が、現実として存在しているのも否めないので、私はニュースを見ながら同情も感じていました。

グローバル・スタンダードとローカル・スタンダードには大きな差がありますね、実情として。

あとは「自分の人生で、自分がどちらを選ぶか」の問題なのでしょう。

投稿: リーボー | 2006.11.26 16:10

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