« ブリの季節 | トップページ | 初鍋 »

2006.11.18

ピューレ食

今日は義父がお世話になっている施設で懇談会があった。 時間が許せばお昼に、日頃給食で出されている食事を試食させていただけるというので、できれば「刻み食」を用意して欲しいと我侭を言ってみた。 「刻み食」とは歯が弱かったり、消化器官が弱っている人のための食事で、おかずを噛み砕かなくても飲み込めるように、文字通り刻んで用意した食事だ。 要望は受け入れられて、実際に用意してくださったのは「ピューレ食」。 「ピューレ食」は「刻み食」よりもう一段上の細かさで、ほとんど噛む必要が無い状態まで滑らかにした食事である。 雰囲気としては「中期くらいの離乳食」の滑らかさを思い描いたら近いと思う。 何故わざわざ面倒なお願いをしたかというと、ひとつは、そういう食事を食べた経験がないから試してみたかったということ(義父は実際に『刻み食』をいただいている)。 もうひとつは、あちらはご商売で給食産業をなさっているのだから、普通の食事を普通にいただいたら、絶対そこそこの食事は用意されてくるに決まっていると考えたのだ。 「すごーく美味しい!」とまではいかなくても、「普通に美味しい」だろうと思った。 だから、ちゃんと考えて作ったり調味したりしないと美味しくならない食事をお願いすることによって、プロの姿勢を見せて欲しかった。

メニューはご飯、とろろ昆布のお吸い物、キャベツの千切り・トマトが添えられた豚のしょうが焼き、カブと油揚げの煮物、それにホウレンソウのお浸しだった。 「ピューレ食」のご飯は全粥になっており、あとのものは見ただけではメニューが解らないような完全なピューレ。 豚肉はピューレにしてから改めてトロミをつけて滑らかなペースト状にまとめてある。 面白かったのはトマトで、無添加のトマトジュースがピンポン球のようなまん丸のゼリーに固められていた。 白いフレンチドレッシングを入れた小皿の中に、真っ赤なピンポン球・・それがトマトだったのでびっくり!! 斬新なデザインで芸術的なひと皿だ。

恐る恐る一口ずつ食べ始めてみると、確かにそれぞれの味がするし、香りもしっかりしている。 滑らかにすればするほど舌の表面に広がるから、塩味の調整が難しいと想像していたのだが、その分ダシが使われているようで、あっさりと優しい味付けにまとまっていた。 滑らかな豚のしょうが焼きというのも、頭が慣れていないので不思議な感じがするのは否めないが、味は確かに美味しい。 うーん、さすがはプロだなあ、と、脱帽。 とても勉強になった。 ただし、視覚と味覚のギャップで、なんだか違う意味の『食べ疲れ』が起きた。 そのせいもあってか、すぐにお腹一杯に。

確かに身体上の都合で、このような食事を毎回摂らなくてはいけないとしたら、それはそれで苦痛なのだろうけれど、この味とこの食感ならそれでも充分に自分は我慢ができるだろうと、思った。 視覚と味覚のギャップだけを、慣れによって埋めることが出来さえすれば大丈夫そうだ。

「今日は試食会なので、気合を入れて作ってくださったようです。」と、施設長さんが半分冗談っぽく言っておられたが、確かによく出来た「ピューレ食」だった。 何事も経験・・勉強になった昼食。 

|

« ブリの季節 | トップページ | 初鍋 »

コメント

ピューレ食を試食! 感心させられました。
高齢者の食事に関する仕事をしてた時、刻み食についても知識として知ってはいましたが、自ら積極的に頼んで食べさせてもらうことはしませんでした。
まだまだ自分の仕事姿勢は甘かったと反省しきりです。
親身な御家族を持ったお義父さまは幸せですね。

投稿: 哲人30号 | 2006.11.19 18:28

哲人30号さん、そんな風に書いていただくと、すごく照れ臭いです、ポリポリ・・。 いえ、きっかけは単純な興味本位という感じで(爆)。 そこの施設長さんも「私も普通食はよく試食するんですが、実はまだ刻み食は食べたことがないんですよ・・どうですか?」なんて、興味津々のご様子でしたよ。
考えていたよりも美味しかったので、安心して帰ってきたのですが、やっぱり見た目とか香りとか噛み応えは食事において大事な要素なんだなぁ、と、再認識させられた次第です。 普通に食事していると、そういったことには案外気付かないものなんですね。

投稿: リーボー | 2006.11.20 15:36

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ピューレ食:

« ブリの季節 | トップページ | 初鍋 »