距離感
雨降り。
春の雨に相応しい穏やかな降りかた。 風も無くしとしとと降っている。 このところの雨は、まるで台風のような嵐ばかりだったから、こんな優しい降りかたをされるとなんだか泣きたくなる。
懐かしい人をちょっと思い出して、今頃どうしているか、と、思う。 まだ東京で暮らしていたなら、きっとひとり傘をさして、顔馴染みの静かなバーにでも出かけてしまいそうな夜だ。
あの時上手く言えなかった言葉が、胸の奥に蘇ってくる。 戻りたい訳じゃなく、それはそれなことくらい百も承知だ。 後になってから初めて理解できることがあったって、構わないさ。 それはきっとお互い様。
あまりにも自然が豊かで人気の少ない所で暮らしていると、こんな切ない夜にふらっと出かけられる場所が見つからなくて困る。 ひとりきりでもなく、かといって誰かとはしゃぐわけでもなく、さり気ない距離感の赤の他人同士がなんとなくお互いを気にしつつ言葉をかけるわけでもない・・そんな、独特の距離感が恋しい。 何処かの知らない誰かのままで居たい時も、たまにはあるさ。
贅沢な無いものねだりだよなあ。 うん、自分でも解ってる。
お風呂にでもゆっくり浸かってリセットしよう。
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