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2007.03.13

器と食事

陶芸家の書いた本を何冊か続けて読んでいる。 伊豆にも陶芸家は多い。 ちょっとサブ・アーバンな立地では、必ずと言って良いほど陶芸家が住んでいる。 リゾートと呼ばれるような場所には、焼き物かガラス製品のお店がある。 私は海外の生活事情にあまり詳しくないが、どうも日本は陶芸家の割合が高いのではないか、と、以前から疑問があった。 その上趣味で陶芸を楽しむ人も多いし、生まれてから一度も陶芸をやったことがない人に会うことすら難しいような気もして、日本人はどうも陶芸好きに見える。 その辺りのヒントがあれば、と思って、読んでみているのだ。

浮き彫りにされてきたのは、「日本の食卓に上がっている食器は、他国に比べて種類が多い」ということ。 例えばご飯茶碗ひとつを取り上げても、家族全員が大きさも色も柄も全く同じ茶碗で食べている家は少ない、という事実だ。 お茶を飲むときは湯飲みを使い、コーヒーを入れるならカップ、日本酒を飲むならお猪口、という具合に、使い分けもはっきりしている。 これは海外の国々に比べて、日本に特徴的な傾向らしい。 外国からの観光客が非常に驚くのは、例えば居酒屋や喫茶店で、客に好みのお猪口やコーヒーカップを選ばせるケースであるとか・・。

使われる器の種類が多い上に、それぞれが自分の好みの器を使い分ける、となれば、各々が自分の美意識に基づいて陶芸作品を作っても、それなりに買い手が存在するということになり、ヨーロッパなどに暮らす陶芸アーティストには本当に羨ましがられるのだそうだ。

また、日本人は「自分で作った器で、飲んだり食べたりする」のが大好きな民族らしく、趣味で陶芸をやる場合、器を作り出すことそのものよりも、それを使って飲食することが目的で、「何を作るか」となるとまずは食器らしい。 これも海外では珍しい傾向とのこと。 確かに指摘されると、妙に納得してしまう。

さて、自分の食卓を見ても、洋食器もあれば和食器も使う。 それが同時に並んでいても、何の不思議にも思わない。 洋食器に和食を盛るし、逆も然り。 その上、和食とも洋食ともつかないようなメニューも多いし、お酒との組み合わせも好き勝手で滅茶苦茶だ。 同じメニューを繰り返し食べ続けることも(主食以外は)皆無なわけで、これほど食事内容も器もバラエティーに富んだ国は、他に見当たらないのかもしれない。 そりゃあ陶芸家さんがたくさん居ても不思議はないわな。

色々な文化を受け入れてミックスした結果なのか、各自の趣味や嗜好を尊重した結果なのかよく判らないけれど、良いトコ取りという気がして、なんだかお得な国だったんだな、と、最近にしては珍しくこの国に好感を持ったりしているのである。

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コメント

以前、フランスの家庭にとめていただいていたとき(要するにゲストハウスみたいな感じ)に、食器の使い方そのものがすごく気になりました。

そこの奥様は日本人だから和食器もあったのですが、、なんていうか、銘銘は大きい取り皿1枚があって、大皿からいろんな料理を取り分けるわけです。レストランと家庭は違うのだな、とおもいながら、洗い物もすくなければ、食べる分だけとるので手をつけて残すということも無かったりして。(残り物を後日別の料理にして出しやすい)まあ、荒いものも子供も各自自分で片付けたりして、結構しつけもちゃんとしていましたが。(私も片付けは手伝いました)

家に帰ってから実践しようとしましたが、日本の食文化にはマッチせずに無理でした。味噌汁好きなだけとってね、とはいえないし(ちなみに、フランスに行くと、スープはそう)、焼き魚が大皿に沢山盛ってあったらなんか、変。(いわしの塩焼きが大皿にならんでいました)

日本人はやっぱり和食器なんだね。とおもいながら、いつも食器棚に上手に収まらないいろんな形の皿にため息ついています。

ちなみに、食いしん坊の親の影響か、子供の頃から陶芸や食器は好きですね。

それに、やっぱり作ったことあるんですよ、、皿を。
それがやっぱり自分では気に入っているのです。

投稿: kumi | 2007.03.14 15:28

和食の大皿盛りは本当に難しいです。 盛り付けた時のバランスが取れないんですよね。 私も以前、団体で貸し切るようなお客様方には、大皿で取り分けるタイプの料理をお出ししていたのですが、何か、こう、「自分の美意識が許さない」みたいな感覚が、最後まで抜けませんでした。 和食のランチバイキングのお店とか、大皿盛りの居酒屋なんかに行ってみても、「美しい」とか「バランスが取れている」という風には、なかなか見えませんね。 ダイナミックな感じや、「家庭的な」印象は受けますけれど。

そうです、器に凝ると収納に困る! 同感、同感です!! ぴったり重ならないし、陶器は厚くて重いし、場所喰うし・・でも、趣あるんですよね。 老舗の旅館や割烹だと、「蔵ひとつ食器保存庫」みたいな所もあって、羨ましいような、他人事ながら管理を心配するような・・。

こんなにたくさんのお店があって、本当にたくさんの器を売っているというのに、「よしこれだ!」みたいに気に入った品には、なかなか巡り会えないのも不思議です。 自分で作ると、ピンポイントでその辺の問題がクリア出来るのかもしれません。 ご自分の作品のお皿、大事にしてくださいね。

投稿: リーボー | 2007.03.14 20:48

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