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2007.03.11

案外普通にあること

ちょっと前、アメリカで出産まで妊娠に気付かなかったという肥満女性のニュースが話題になったようです。

でも、この手の話は、臨床では案外良く聞く事だったりします。 私も周産期(妊娠・分娩・分娩後の母体と新生児を看る期間)に関わっていたほぼ10年の間に2例ほど経験しました。 印象に残っているのは、後からのケースです。

夜半過ぎ。 腹痛を訴えていた奥様がトイレに座ったまま動けなくなり、ご主人が「これは尋常ではない」と救急車を呼んで、病院に運び込まれました。 超音波で腹部を見ると、なんと映し出されたのは丸々と大きく育った赤ちゃんで・・すぐさま外科から分娩室へ。 あれよあれよという間に、無事出産。 立派な赤ちゃんが産声を上げました。

40を過ぎていたそのお母さんは、生理が来ないのは「もう閉経なんだ」と思っていて、食欲が無いのも「更年期障害のせいだ」と思っていて、最近お腹周りが大きくなってきたのも、体重が増えてきたのも、「閉経すると太るって言うし・・」と、気にも留めていなかったとのこと。

ご主人と小学3年生のお姉ちゃんの唖然とした表情が、忘れられません。

とにかくおめでたいことには違いないのですが、ご家族にしてみれば寝耳に水で、パニックに陥っても不思議ではない状況ですので、スタッフは皆かなり慎重にケアに当たらせていただきました・・。

外来に腹痛や不調を訴えてくる患者さんには、そこそこ「本人が気付いていない妊娠」というケースがあって、そんな方にCTスキャンとかX線造影とかで放射線を浴びせてしまうと大変ですので、医療従事者間には「女性が来たら妊娠を疑え」なんて言う裏原則が、脈々と先輩から後輩へ受け継がれていたりします。

まあ、妊娠に気付かない程の妊婦さんは、それだけ妊娠経過が順調だとも言える訳ですが・・。

ちなみに、妊婦検診を全く受けていない妊婦さんから生まれる赤ちゃんは、どんな感染症を持っているか判らないという理由で、検査結果が出るまでは他の赤ちゃんから隔離されます。 沐浴も別、オムツ交換もガウンを着直して、抱っこしたらその後には厳重な手洗い・・。 扉のついた別の部屋でスヤスヤと眠っている赤ちゃんには何の罪もないわけで、同時にたくさんの新生児を預からなくてはならない立場上、仕方がないことではあるのですけれど、ちょっとばかり心が痛かったりしました。 状態が安定したらすぐにお母さんの部屋に移動して、お母さんに赤ちゃんのケアをしていただきました。 こういうケースでは、赤ちゃんが出来るだけ早く家族の一員となるべく、「赤ちゃんが来た」という実感を持っていただくことが大事になりますので、ね。

分娩を取り巻く環境も、人それぞれ、本当に色々です。

検索をかけてみたら、こんな経験をなさった麻酔医も居られました。(やっぱり「女性を見たら・・」は医療現場ではどこでも引き継がれているみたいですね。)

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コメント

こんにちわ(*^_^*)
TBどうもありがとうございます(^^♪
やはり、こういうケース、案外たくさんありますね。。
気をつけないと見落としてしまいがちです。。
くわばらくわばら(>_<)
 
これからも宜しくです

投稿: doradora | 2007.03.13 09:12

doradoraさん、いらっしゃいませ。
ありますよね!
ニュース読んでもあまり珍しい印象を受けなかったのに、世間では話題になっていたみたいで、そのギャップに驚いていました。
「あっ、こういう話に世間は飛びつくんだな。」と、ひとつ学んだ気がします。

くわばらくわばら・・ははは、同感ですね!

こちらこそよろしくお願いします。

投稿: リーボー | 2007.03.13 15:25

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