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2007.05.28

『お菓子の城』の話

先週末の土曜日、意味も無く早い時間に自然に目覚めてしまった。 このまま二度寝したらぼんやりと一日終わってしまいそうだし、外には青空が広がっていたので、急遽名古屋まで出かけてみることにした。 特別な渋滞にも巻き込まれず、お昼前には名古屋入り。 大型のテーマパークで夕方まで過ごした後(こちらの話は、また後日にでも)で、「今からだったら、ぎりぎりで閉館時間に間に合う!」と、足を伸ばした所が犬山の『お菓子の城』である。

なんでこんな所へ?かと言うと、ここは卵ボーロや麦のウェハースなどを製造販売している竹田製菓が作った施設なのだが、社長の竹田和平氏という方が、個人投資家としてその道では有名人で、当然のごとく資産も相当お持ちだし、その上、お金儲けの話題のみならず、人生哲学というか、ちょっと間違えたら宗教に近いような独特の思想をお持ちで、その思想を広める活動をいろいろなさっておいでなので、単純に興味があったのである。(竹田氏のブログはこちら。 まずそのまま初めて読んだら、頭からクエスチョンマークが飛ぶかも知れない・・。)

観光客としての視点からの『お菓子の城』については、麻理さんという方のブログに大変よくまとめられているので、そちらも参照していただくとイメージが掴みやすいかと思う。

工業団地の一角に場違いなお城があって(どうやらここも竹田製菓の工場らしい。)、入園料お一人様1200円と、立派な設定になっている。 中はとにもかくにもシュガーケーキのオンパレード。(シュガーケーキをご存じない方はこちらへ。) 3階まで吹き抜けになっているエントランスの天井まで聳え立つウエディングケーキを囲むように螺旋階段が取り付けられ、売店やケーキバイキング、女の子がドレスを着てお姫様気分になれるようなコーナー等がある。 別館には子供たちがクッキーやパン作り体験などできる場所も。 そして、とにかく長ーい廊下を歩いた向こう側には、一体どれくらいか数え切れないほどのシュガーケーキが陳列されている。 童話や世界中の有名建築物をテーマに、ありとあらゆるケーキ!ケーキ!!ケーキ!!! ・・とにかくケーキしか無い。

そこに添えられている解説などの説明文の日本語が、また奇妙で難しいのだ。 「あなたはなぜシンデレラの靴が透明なのだと思いますか?」とか。 多分、求められている答えは「ガラスで出来ているから」ではなくて、もっと精神論的なものなんじゃないかと思うが、正解は自分で考えてくださいとばかりに、疑問文を投げかけられてそれきりになっている。 そんな箇所だらけ。

館内にはずっとエンドレスにテーマソングが流れ続け、甘~い香りと一緒になって頭がくらくらする。 昔の児童向け番組の「歌おねえさん」のように、高い声で何を唄っているのかと思えば、なかなか凄い歌詞で、「やばい!洗脳されるかも。」と、焦って冷や汗が出てくる感じがした。

着いた時刻が遅かったので、体験施設もケーキバイキングもことごとく終了していて、ましてや幼い子供を連れたご家族は帰り時間が早いと見えて、館内に人が殆ど居ない。 その中でこれでもかと並べられたシュガーケーキと、大音量のテーマソング。 ・・ちなみに、体験やバイキングにはそれぞれ別料金が設定されているらしい。

入館券にもれなく付いている「記念品交換券」で受け取ったのは、『ありがとう百万遍ボーロ』という商品で、デザインもネーミングも書いてあることも、よく判らなくて頭を抱えながら、建物を後にした。

かなり気になったのでいろいろ調べてみると、どうやら社長の竹田和平氏は、「ありがとう」という言葉を繰り返してゆけば、自然と何事にも誰にでも感謝の気持ちを抱くようになり、そうすれば人生そのものが上手くいくことに繋がってゆく、というような考えをお持ちのようで、ボーロを作る過程で、ボーロに実際に「ありがとう」を百万回聞かせて(気持ちを練り込んで?)製作した商品らしい。 で、ついでにその『百万遍ボーロ』を、お世話になった方に感謝の手紙と一緒にプレゼントすれば、相手にもハッピーが広がり、善い行いで自分の運も上向くし、竹田製菓の売り上げも伸びて、三者共々万々歳という公算らしい。

多分、お考えになっていることは、決して間違った方向ではないのだと思われるけれど、その過程を説明しないで『ありがとう百万遍ボーロ』、しかも袋に『ハッピー バン! 貯徳わくわく100万遍の輪』などと書かれては、一般の人は間違いなく引くでしょう・・。 自分が作り上げた理論と、一般の感覚のギャップを何とかしないとまずいのではないか、と、他人事ながら心配になった。 会社経営も、会社の製品も、勤務している人にも、そして『お菓子の城』にも、竹田社長の独自の精神が色濃く反映されており、私のような「知らない人」は、その違和感に圧倒されてしまうのだ。 私が『お菓子の城』を楽しめなかった理由は、多分そこにある。 決してクッキー作り体験が出来なかったからでもなければ、ケーキバイキングが出来なかったからでもない。 「なんじゃこりゃ?」の感覚がずっと付きまとっていたのだ。  自分がここでどういった精神状況で、どういった振る舞いをし、何を楽しいと感じればよいのか、最後まで解らなかった。

深く考える事は、人間としてとても大切なことだとは思うが、あまりにも哲学的な精神論になって「地に足が付かない状態」になるのはまずいだろうし、地に足を付け過ぎて日常のくだらないことに右往左往している人々にも、大事なことを伝えるには、具体的にすぐに可能な形で例をあげながら話さないと、相手には伝わらないに違いない。 と、そんなことを学んだ気がした不思議な場所だった。 多分、竹田和平社長は、日常の自分の体験の中から、大事と思われる要素を振り分けていって理論を築かれたのだと思うので、「こんなことから、これを学んだ」とか「これにはこんな意味があった」のように、過程をそのまんま伝えることを見学者にしてくだされば、私も『お菓子の城』を楽しめたのかもしれない。 それを受け入れる・入れないは、また別の話としても・・。

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コメント

リーボーさん、お菓子の城にいらっしゃったんですね。竹田社長のエピソードは初めて知りました。いやー、あらゆる意味でディープなスポットですね。頭がくらくらしてきます。甘いものに眼がないので、再び訪れたいと思っていますよ。

投稿: 麻理 | 2007.05.28 18:01

麻理さん、早速のご来訪、ありがとうございました。
変に竹田社長のエピソードを知っていただけに、普通の楽しみ方が出来なかったのかも・・。 ホント、かなりディープで、駐車場に戻ってきた時には、まるで生気を吸い取られたような気分になっていたのを、思い出します。

ケーキバイキングは残念でしたが、館内に充満していた甘~い香りで、お腹一杯な疑似体験ができました。 逆に、あの香りの中では、バイキングにトライ出来たとしても、たくさんは食べられなかったかもしれません。(元々あんまり甘いものに強くないので。苦笑。)

いろいろな意味で、不思議な場所でした。 再びおでかけになったら、また新しい目でのレポートを期待しています! 『百万遍ボーロ』貰ってきてくださいね。

投稿: リーボー | 2007.05.29 15:44

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