田んぼ
いつもの国道で車を走らせていて、ふと、風がいつもと違うのを感じた。 町へ向かう「上り」ではその理由がわからなかったのだが、町から帰ってくる「下り」で理解することが出来た。
それは、田んぼのせいだった。
国道に面した土地に田んぼが広がった場所から急に、窓から入ってくる風の性質が変わったのだ。 温度が下がり、穏やかにしっとりと優しい。 こんなに影響があるのかと驚いた。 今の時期、田んぼには水が張られている。 その水面を渡ってくる風は、明らかに性質を変えて流れてくるのだろう。
去年の夏だったか、都市部のヒート・アイランド化現象を緩和する為に、ビルの屋上やちょっとした空き地に池や噴水、水田などを作る試みが紹介されていた。 昔と違って、都市の中心部では川が地下に埋められてしまっているので、「水面を渡る風」が極端に減ってしまい、水蒸気量が減る。 そういったことに一矢報いようという内容だったと記憶している。 家の前に打ち水をするだけでも、軒数がまとまれば違うと言う。 ニュースを聞いた時には、たったそれだけのことで果たしてどれほどの効果があるのか、と、半信半疑だった。
その意味が、今日やっとわかった。 これは凄い影響がある、きっと。
たかが田んぼ、されど田んぼ。
まだか細い苗がホヨホヨと風になびいている田んぼからは、ケロケロと甲高いカエルの鳴き声が響いていた。
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