今宵どこかのバーで
「というわけで・・・」
男は今までの経過を自分で締めくくるように言った。
「僕は彼女のことが一番好きなのに、彼女にとっての一番は僕ではないんだ。」
女は同情とも困惑ともいえない表情を眉に忍ばせて尋ねた。
「一番と二番には、どのくらいの開きがあるのかしら。」
「それは人によって場合によって様々だろう。 君だったら?」
女はグラスに視線を落とした。
「そうねえ。」
はぐらかすようにそう答えた後で、女は『あなたが一番です』という一言をホワイト・レディで胃へ流し込んだ。
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