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2007.08.24

心の中にはY染色体

過日、某病院の外来待合室で、持参した本を読みながら呼ばれるのを待っていた。 多少の融通は余儀なくされるが、基本的に予約制診療なので、待合室はそんなに混み合ってはいない。 私より早く来て待っていたのは、初老の女性一人だけだった。

しばらく経つと、新たに別の初老女性が待合室に入ってきた。 すると、私より早く来ていた先客の女性が、新たにやって来た女性に勢い良く挨拶した。

「あら、こんにちは。」 「まあ、こんにちは。」

この辺りでは『世間が狭い』とでも言えばいいのか、暮らしている人の頭数も少ないし、お店や病院の数も限られているから、都市部での生活に比べて、出先で顔見知りやそう遠くない親戚に出会う確率がやたらに高い。 なので、聞くともなく聞こえてくる会話を耳にしながら、「ああ、このふたりはお知り合いだったんだな」、と、思った。 よくあることだ。

「今日はどうしたの?」、とか、「暑くて大変よねえ、私なんかねえ~・・」のような、意味の無いどうでもいい内容の会話が、途切れることなく続いてゆく。 静かだった待合室に元気なオバサマの声が響く。 あまり使ったことの無い単語だが、こういうのを『かしましい』と呼ぶのだろうか?、と、ぼんやり考えていた。

オバサマの声をBGMにしたまま読んでいた本に引き込まれていた、その時、オバサマの一人が突然言った。

「あれ、私、勘違いしてたわ。 あなた、○○さんじゃないわよね。 来た途端に○○さんだと思っちゃって。」 「あら、私もどなただったかなって、ずっと思ってたんだけどね。」 「あはは。」 「あはは。」

横に居た私の方が、あっけにとられて、思わずそちらを見そうになった。(適切でない表現を使えば、ガン見してやろうかと思った、という感覚。) あははじゃないだろう、このふたりは全く初対面で認識も無いまま、こんなにペチャクチャと話し続けていたのか?! 時計を見てみると、あれから10分近く経過している。

しかも、相手が赤の他人だと判明してからも、今度は認識がないことを出発点にして、「家はどこにある」だの「あのテレビ番組を見たか」だの、有名人のスキャンダルだの、延々とお喋りは続いてゆくのであった・・。

どうしてこんなにどうでもいい内容を、ずっと喋り続けられるのか。 唖然、呆然、ちょっと嫌悪感。 私はこの人たちと同じ女性なのか、と、落ち込むまでは届かないにせよ、心理的ダメージを受けた自覚。

その日の夜、『ますたあ』に外来で出会ったオバサマ達の話をした。 「私も歳をとったら、あんな風になってしまうのかな?」、と、溜息をついた私に、「ならないよ!」の即答を返してくれたことに、救われた気分になった。 身体の方は仕方が無いとして、頭の中までX染色体に乗っ取られてたまるものか!、みたいな妙な反抗心がふつふつと湧き上がってきたような気がした。

あんな時言うのかな、「どんだけ~」って。 あっ、でも、オネエ系の皆さんは「心の中にはX染色体が2つ」か。 もうなにがなんだか。 

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