むかごでしみじみ
毎年、窓の外の庭木に山芋の蔓が巻きつく。 そこにムカゴがたくさんくっついたのだが、今年は例年になく粒が大きい上に数も多い。 なんとなく「採って食べてみようかな」という気分になった。
竹箒を上に向けて払うようにすると、小指の頭くらいのムカゴが、ぱらぱらと音を立てて落ちてくる。 それを拾って、片方の掌にこんもりする量が集まった。 市販のムカゴのように整った形のものは少なくて、明らかにいびつだ。 これもご愛嬌の内。 中には隣同士で融合してしまったような双子、三つ子も混じっていて、まるでアメリカ出身で幕張にも出張している某有名ねずみのシルエットのようなものも。
真っ先に思いついたのは、やはり「むかごご飯」なのだが、「ちょっと量が少ないかな。 これじゃあ、ご飯の味に埋没してしまうな、きっと。」、と、思い、薄く油をひいたフライパンで丁寧に炒って塩をぱらぱらと振り、そのまんまの直球勝負でいただいた。
これといって個性の強い食べ物でもないけれど、いかにも秋の味と香りで、お箸で丁寧に摘みながら神妙に味わって食べていると、日本人だなあとしみじみする。 この「しみじみ感」を自分の中で大事に持ち続けていたいと、これまたしみじみ思った。
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