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2007.10.25

レーズンバター

間違いなく「美味しい」と思うのに、その立ち位置がよく理解できていない食品がいくつか存在する。 例えばお弁当に入れられた「甘い豆の煮物」、洋食のコース料理の最後に供されるチーズの数々、おせち料理の栗きんとんも私にとってはちょっと難しい感じがある。 要するにどのタイミングで食べたら良いのか迷うような存在だったり、このタイミングで出されるよりはもっと別の時に食べたいと思うような、そんな食品。

バーなんかでも、ちょっと迷うものを供されることがあって、先日はブリオッシュに擦り付けたチョコレートのムース・・。 まあハーシーズのキスチョコも使われるくらいだから、世間的にはそんなに妙なことではないのだろうな。 食事を終えてお腹は足りている状態で、ちょっと強めのお酒を楽しむような場面では、ありなんだろう、と、思うし、ウィスキーやラム、コニャック、ブランデーなどが相手だったら、組み合わせとしては悪くない。 そして、問題のレーズンバターだ。

レーズンバターは美味しい。 誰がこんな食べ物を思いついたのか、と、ひたすら感心する。 でも、食事に出すのは違う気がするし、お酒に合うか?と尋ねられたら、どちらかと言えば私の中ではNOだ。 じゃあ、どこで食べることができるかと考えると、間違いなくバーで、それもちゃんとこだわりのあるバーでなければ扱ってくれていない。 さもなくばショッピングセンターにでも行って、小岩井農場ブランドの市販品を見つけ出すしかない。 子供の頃、実家にご進物で小岩井ブランド製品の詰め合わせが届けられていたが、その中には例の三角柱の紙箱に収まったレーズンバターが、必ず一本入っていた。 で、バターだのチーズだの他の商品は食事の材料として使われて無くなってしまうのだが、レーズンバターの三角の箱だけは誰も手をつけないまま、冷蔵庫の奥にいつの間にか追いやられ、ある日突然「ありゃりゃ、こんなところにレーズンバターが・・!!」、ということになる。 賞味期限はとっくに過ぎていても、全く痛む様子も無く、丁寧にスライスして並べられる高カロリーの禁断の味は、それはそれで不思議に美味しいものだった。 干し葡萄の甘味と酸っぱさ、そこにバターの塩気がちょっとプラスされて、飲み下した後に脂肪の甘い後味が残る絶妙のバランス。

結婚した当初、手作りしてみたこともあった。 別にレーズンでなくても良い訳で、他に干しアンズとプルーン、クルミを砕いたものも用意して、発酵バターを有塩3分の1、無塩3分の2の割合の中に混ぜ込んで、スプーン2本で小さく丸めて冷やす。 これがなかなかの出来で、元々高カロリー食品が大好きな『ますたあ』が、すごい勢いで平らげてしまったのを見て恐れをなし、それ以来作っていない。

レーズンバターを相手にお酒なり紅茶なりを飲むと、胃袋の中で上手く混じっていないような、分離するような自覚があって、実際にそんなことは無いのだろうと思うが、どうもしっくりこない。 それでいて、単独でスライスしたものを1・2枚だけつまむというのも、なんだか用意するのが面倒くさいし、おやつの時間が相応しいのか、夕食の後なのかも迷う。

レーズンバターも私にとっては、立ち位置が把握できない食べ物のひとつで、扱いが難しい。 それに、あれはいったいどこの国の料理なんだろうか? 美味しいのに困った食品である。

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コメント

最初の段、まったく同感です。立ち位置がわからないものって、おいしいのになんか苦手。
でもレーズンバターは、私の中ではほぼ間違いなく洋酒のおつまみです。バーで氷に載って出てくるイメージ。といっても何年も食べてないので、今食べたらどう思うか自信がないですけど。

投稿: Mr.Spice | 2007.10.26 05:47

たまたまなんですけど
昨晩、レーズンバターを食べましたよ。
近所のバーでスコッチのツマミとして出してくれました。
オイラはいつも、チョコレートを頼むんですが、
昨晩はバーテンさんが「レーズンバター食べます??」って聞くものですから…。
とても美味しくいただいたんですが、仰るとおり「胃袋の中で上手く混じっていないような、分離するような自覚」はありますね。
オイラは、それも含めて好きですけどね。

投稿: クッスィ~ | 2007.10.26 14:00

>Mr.Spiceさん
ねっ、うっかりすると「何年も食べてない」状態になっている食品ですよね、レーズンバターって。 出してもらえば美味しいんだけれど、買い物する時にリストアップはされない、みたいな。
私の友人の「栗きんとん好き人間」は、「栗きんとんさえ入っていれば、おせち料理として成立する!」と言い切っていました。 『立ち居地』は、どのくらい気合を入れてその食べ物が好きか、に、よるのでしょうか。

>クッスィ~さん、あっ、召し上がりましたか、それは凄い!(って、レーズンバターに失礼という気もしますが。)
やっぱり洋酒相手のおつまみという立場が、一般的なのかな。
チョコレートを頼むクッスィ~さんなら、ブリオッシュとチョコレートムースも、きっと気に入っていただけたんだろうな、と、思いました。 「分離するような自覚」、通じましたか・・嬉しいです。 ああいう感覚って、言葉に置き換えるのに苦労するんですよねえ。

投稿: リーボー | 2007.10.26 15:35

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