我が家の愛車ルーテシア嬢が12ヶ月点検なので、沼津にあるルノーの整備工場まで届けることになっていた。 すると義父がお世話になっている老人施設から連絡があり、同じ日に「遠足」で沼津の御用邸記念公園に連れて行ってくれるという。 整備工場から御用邸記念公園までは1km.ちょっとなので、現地で待ち合わせることにした。 「代車を出します」という申し出を断って、ウォーキングを兼ねて散歩を楽しむことにする。
御用邸記念公園ではちょうど菊花展が催されており、大輪の花をつけた見事な菊や、滝が流れるように小菊を仕立てたものなど、色とりどりできれい。 車椅子の父の目線からは花が近いようで、楽しんでくれていた。 敷地内の高台まで車椅子を押して汗をかきながら、海風に吹かれたり、陽射しを楽しんだりして過ごす。 他の御老人達との会話も楽しみつつ、12時に駐車場に出口へ集合。 「これから回転寿司屋さんでお昼ご飯」という一行のバスを見送ってから、改めて御用邸の建物の内部を見学。 途中の喫茶室で、栗ぜんざいとみたらし団子を『ますたあ』とシェアした。 上品で控えめな甘さ、小豆の香りも上々だし、みたらし団子もほんのり温かく、添えられたほうじ茶まで上等で、そんじょそこらの甘味処よりよっぽど美味しい!
国道沿いを北に歩きながら、行きにチェックした「金山寺みそ」ののぼり旗を追いかける。 小さな醸造所でもあるのかと想像していたのに、建材店の事務所の玄関に、唐突に冷蔵庫を置いて漬物や佃煮などの塩蔵品を扱っているという謎のお店に辿り着いた。 商売熱心な建材店の奥様らしき人が、いろいろ説明をしてくれるのだが、たくさん喋っている割には要領を得ず、何でこんな場所でこんなお店になったのか最後まで判らずじまい。 ・・でも、品物は良さそうだったので、「アサリの浅焚き」と「イカと小海老を甘く炊いた佃煮」を購入。
国道に戻ってしばらく行くと、「天むす・味噌煮込みうどん」の看板に出くわす。 名古屋味が大好きな私たちにはうってつけだ。 早速看板の矢印を頼りに横道へ。 途中で『ますたあ』が見つけた「味噌汁定食」のお店を「なんじゃ?そりゃ??」と気にしつつも、名古屋料理のお店へ。 八丁味噌で茶色に煮込まれた味噌おでん、天むす、トンカツ定食に瓶ビール、という王道の名古屋オールスターズ勢ぞろいで、大満足のお昼ごはんに。 機会があったらまた来て、次は味噌煮込みうどんを頼んでみよう。
国道と海岸線の間に広がる住宅地のくねくねとした路地を、のんびりと腹ごなししながら、牛臥山に登れる場所は無いか探すが見当たらず、「商売上手なお寺」や野鳥公園などを冷やかして、整備工場の方向へ。
大きな旧家の庭先に、ぱっと見100枚は下らないサンマの味醂干しを天日干しして、それを箱にしまっているオジサンを見かけて足が止まる。 なんとなく目が合った。 「少し分けていただけませんか?」 「いやあ、これは売り物じゃないもんでね・・。」 全部そのオジサンが捌いて作り、それを(何故だか判らないが)明日福井にまで持って行く予定だという。 そんな立ち話を聞いていたら、「良かったらあげますよ」と新聞紙に2枚包んでくれた。 申し訳ないので、さっき謎の塩蔵品屋さんで買った「イカと小海老を甘く炊いた佃煮」と交換することに。 「いやあ、そっちの方が高く付いちゃうじゃない」と笑うオジサンに見送られながら、一期一会に感謝する。
整備工場へ戻ってルーテシアを引き取り、スーパーで買い物を済ませてから帰宅。
早速分けていただいたサンマの味醂干しを焼いて夕食に。 これが、今まで干物屋さんで買って食べたどのサンマよりも美味しくて、『ますたあ』とふたりで「う~む・・」と唸ってしまった。 お昼のお店で味噌煮込みうどんを食べる時には、あの家まで足を伸ばして、ポストに御礼の手紙を届けに行こうと、心に決めた。
なんとも食べ物に恵まれた一日。 たまには車を降りて、のんびり歩きながら小さな光景を丁寧に楽しむのも幸せだ。 「ちい散歩」ならぬ「リー散歩」沼津編・・とっても充実したショート・トリップで、めでたしめでたし。
12月3日追伸: 私達が行った「天むす・味噌煮込みうどん」の看板のお店に関する素敵なレポートがあったのでリンクしておきます。 美味しかったですよ!
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