初雪
雪が舞っている。
「積もる雪」ではなくて、風向きが変わると一斉に流れるような粉雪。 どうりで底冷えするはず、と、曇ったガラス窓の向こうを気にしながら、ひとつ身震いをした。
朝はお日様も顔を出していたので、洗濯物を外に干したのだが、ものの一時間も経たない内に慌てて取り込むことになった。 初めから完全に乾くとは思っていなくて、どうせ仕上げは室内干しにする予定だったものの、一割でも二割でも水気が飛んでくれれば・・と、期待していただけ分だけ残念な気になる。
さっさと収穫した後で新たに顔を出したフキノトウが、凛とした姿で雪空を見上げている。 「ね、やっぱりちょっと早かったでしょ?」 その辺の落ち葉を一掴み、上に被せてあげた。
センター試験にしても、もろもろの受験にしても、こんな寒さの底で受けさせるのはなんだか気の毒なように思うのも、毎年この時期の恒例。 そうだった、去年もそんなことを『ますたあ』と話していたっけ。
人の勝手な思惑を隠すように、雪が舞い続けている。 夕ご飯の為に何か温かいメニューを考えなくちゃな、と思う、しんと静まり返った夕暮れ時だ。
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