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2008.01.19

鳥の水飲み

以前、叔父と向かい合って食事を摂った後、薬を飲む私を見て、叔父が急にケラケラと笑い出した。 この叔父は、実家の母の妹の旦那さんに当るので、血の繋がりの無い親戚である。 「なーに?!そんな薬の飲み方して・・!」 「えっ?何か変な事した?」 私にしてみたら、いつも通りに薬を飲んだだけだ。 何がそんなに可笑しいのか想像も付かない。 「だってさあ、水を口に入れた後にわざわざ天井向いてからコックンなんて飲むんだもの!」 相変わらず叔父はケラケラ笑い続けている。

「薬飲む時、上の方見ません?」 「鳥じゃあるまいしさあ、しないよ、そんなこと。 ニワトリとかインコとかが水を飲む時にやってるのは見たことあるけどさ。 何でそんなことするの?」 わざわざ意識したことも無かったので、暫く考えてから、「喉の奥のほうに薬をまとめて、いっぺんに飲み下せるように、かな?」、と、答えておいた。 「普通の人はしないものですか?」、急に自信がなくなって尋ねた私に、即答が戻ってきた。 「しない、しない!」 ・・ここまで断言されては仕方ないので、おずおずと引き下がることに。

ひとしきり大笑いされた後で、叔父が言った。 「死んだ○○(叔母の名前)もさ、そうやってたんだよ。 それでいっつも『なんだそんな鳥みたいな飲み方して。』ってからかってたんだよな。 まさかこんな所にもその血を引いた人が居たとは思わなかったな。」 ちょっと遠い目をしたのだった。

私は『親戚だから・・』という特別視感覚があまり好きではないので、親戚だろうがそうでなかろうが、『その相手個人と私との関係』でずっと生きてきているのだけれど、この時だけは生まれて初めて、「あっ、今はこの叔父の姪っ子でいてあげたいな。」、と、思ったのを覚えている。

残念ながら、自分で選ぶ選ばないに関係なく、「血」というのはさり気ない仕草とか、表情とか、ものの言い方とか、なんということも無いような部分にこそ、しっかりと引き継がれているもののようだ。 誰か私の先祖で、叔父的表現を使えば、「鳥のような薬の飲み方」をしていた人が、どこかにきっとひとり居るんだろうな。 誰だ?それ・・改めてそんな風に考えてみると、妙に可笑しい。

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