命の豊かさ
ブログに書いたから、である筈もないが、珍しく二日連続の晴天。 もう嬉しくて、洗濯しまくりだった。 シーツも枕カバーもタオルケットまで洗って、しかもことごとくからりと乾いてくれることの、何とありがたいことか。
昼間は蝉が、夜は秋の虫たちが、それぞれに声を張り上げている。 計測機器で測定すればそこそこうるさいレベルかと想像するけれど、こういった音は不快でないから不思議だ。 何かに集中すればあっという間に、意識の外へ追い出されてしまう。
季節に焦るように、スズメバチが神経質そうに飛び回っている。 きっと、そう遠くない場所に巣があるんだろう。 物干し場に出る時は、刺激しないように気を遣う。 怖い虫の一つであると同時に益虫でもあるので、できるだけ共存してゆきたい姿勢でいる。 だからといって、こちらの思惑など通じる訳が無いのも、また事実。 人間なんていつも勝手だよな、と、どこか他人事のように思う。
物干し場のコンクリートの上では、カナヘビが日向ぼっこをしていた。 スズメバチに気を取られて足元に気付かずに踏みそうになり、慌てて足を引っこめた。 ちゃんとこちらを警戒して先手を打って逃げ出してほしい所を、どうしたことか顔を上に向けて空の方を見上げたまま、じーっと佇んでいる。 こちらが洗濯ものをとり込もうが、上を跨ごうが、我関せず。 「ちゃんと生きてる?」と、思わず顔を覗き込むと、円らな眼の視線を私と合わせたまま、「何か?」とでも言うように首を傾げられた。 見ようによっては哲学しているようでもあり、爬虫類や両生類独特の不気味さよりもうっかり可愛らしさを感じてしまって、私の方がどぎまぎ。
たくさんの命に囲まれて生活していることの豊かさを、改めて意識した。 こんな風に何気ない日常の中を、季節は丁寧に進んでゆく。
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コメント
東京に40年以上住んでいた。
そして、函館に移り住んで半年。
>何気ない日常の中を、季節は丁寧に進んでゆく。
これ、久々に感じています。
小さい子供の頃、東京や東京近郊(に幼稚園の頃、住んでいた)でもこういった感覚があったような記憶が僅かに残っています。
ここ10年くらいの東京は季節感は相当薄れていた。
こちらに来て、空を見たり、風を感じたり、海を眺めたりしながら、そして何よりも歩く自分を包む空気を感じながら季節感を感じています。
すぐ目の前に山があるのでその距離感でも空気を感じることが出来ます。
その様な感覚を追いかけて行くと、
東京で一番季節感~空気~を感じられるのは元旦の朝かもしれない。
投稿: syumei | 2008.09.03 01:23
特に東京の中央の方は、ますますそうなっているのでしょうか。 ここ10年以上は上京してもせいぜい2泊止まりなので、その差があまり実感できないのも事実です。 でも、23区内で生まれそこで育ち、今でも暮らし続けている友人達は皆、口を揃えて「私たちが生まれた頃の東京とは、全然違ってしまっている。」と言っていますね。 「いつからこんなになっちゃったんだろう?」って。
私が東京で過ごしていた時代でも既に『季節は探すもの』だったり『造るもの』でしたが、山暮らしではすっかり『向こうから押し寄せてくるもの・迫ってくるもの』という感覚に慣れてしまいました。 幸せなのかもしれません。
syumeiさんも引っ越ししたり環境が変わったりすることは大変だったと思いますが、その分、感じるものや思い出したりするものも増えたようで、ちょっとは良かったでしょうか。
休暇を取る日付が、個人単位でバラバラになると、あの都心の元旦独特の空の感じも存在が危ぶまれますね。 お勤めの方々は、ますます休暇を取るのが難しくなっているようにお聞きしますので、心配です。
投稿: リーボー | 2008.09.03 18:38