昨日の朝、友人からメールが届いていて、腹痛があるが受診すべきかどうかを相談された。 既に痛みのピークは数日前に過ぎたとのことだが、どうも「消化器系」というよりも「婦人科系」なんじゃないかという印象を受けたので尋ねてみると、今まで一度も婦人科検診を受けたことが無いと言う。 「もうすぐ私達も更年期を迎えることだし、ここらで一度婦人科を受診しておいても損はないのでは。」、と、提案しておいた。
夕方、その後どうなったかを尋ねてみたら、どうやら見事な『卵巣のう腫』が育っていたらしく、その場で施設の整った病院に回され、入院と緊急手術を勧められたが、子供が間もなく受験なのでそれが終わるまではなんとか・・、と、医師を説得してやっと家に戻って来た所だとのこと。 「ウワー、受診してくれて良かった!」と思う一方で、手術を延期してきたことへの不安が募る。 ご存知かもしれないが、卵巣のう腫は大きく育つと体内で捻じれて卵巣への血液供給が寸断されたり破裂を起こしたりして、そうなれば有無を言わせず緊急手術の適応だ。 もうその段階に達してしまっているのかどうか、彼女の話からは判らなかったが、勧められたということは「遠からず」の状況なのだろう。
「いつ爆発してもおかしくないから、家に帰っても安静にしてろって。」・・彼女からのメールはあっけらかんとしている。 「医者からちゃんと説明されたと思うけど家事をサボってしっかり休むように」返信を送ったら、手術になるかもしれないとのことから一日飲まず食わずの状況で、子供の塾の送り迎えから買い物などで夕方から走り回ってクタクタとのことで、聞いてしまった私の方が青くなった。
「あのねえ、『安静』の意味、分ってる?」 「えっ、だってそんなに痛くないんだよ。 痛み止めも要らないくらい。」 「そういうことじゃなくてさ、医者に『安静にしてろ』って言われたら、つまりは『ごはんとトイレとシャワー以外は黙って寝ていろ』っていうこととイコールなんだよ。」 「えっ、そうなんだ。 そんな怖いことだったの?」 「破裂したら即手術になっちゃうんだから、破裂しないように気をつけなきゃ家に帰って来た意味がないじゃない。 主婦だから寝てばかりいられないのは判るけど、できるだけサボってじっとしてなさい! そんなわけだから、誰かにサポートを要請すべきだと思うけど、当てはある? 無かったら手伝いに行こうか?」 ここまで来て漸く彼女も事の重大さを認識し始めたらしい。 結局はお母様に頼むことにして、子供の受験日当日のことはご主人の協力を仰ぐことに。
「ちゃんと家族に協力してもらわないと、あなた一人で抱え込める状況じゃないんだからね。 そうしないと大変なことになっちゃうよ。」なんて、軽く脅しておいた。 緊急入院・緊急手術の準備を各セクションで整える病院現場のジタバタは想像に易しいけれど、「安静」と伝えただけで「何をしていいのか悪いのか、どこまでなら許されるのか」の認識がすれ違っていては、悪い結果を招きかねない。 患者の理解度をちゃんと評価できる「誰か」が、現場に居なかったことを残念に思った。
もっと言ってしまえば、とりあえず年に一度くらい婦人科の検診を受けて、自分には卵巣のう腫があると認識していれば、お子さんの受験のバタバタを避けて、落ち着いた時期に落ち着いて治療を受けられただろうに、と、思うと、それがもっと残念だ。 ・・まあ、今は何も言わずにおかなければ。 全部片付いて、受験も終わって進路も決まって、彼女も元気になって、それでも懲りていないようだったら、その時はちょっとだけ釘を刺しておこうかな。
最近のコメント