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2009.02.03

ほだされて

東京で育った私にとって「恵方巻きのかぶりつき」という節分行事は馴染みがなく、異文化の域を脱していない感覚である。 ここ数年で凄い勢いを以て勢力を拡大し、今ではどこもかしこも「恵方巻き売り込み合戦」で、今朝の新聞に折り込まれていた近隣のスーパーのチラシも、ことごとく恵方巻き一押し状態。

別に気に入らない行事という訳でもないが、家族がそれぞれに太巻きを一本ずつ抱えて、同じ方向を向いて一言も喋らずにただひたすらモグモグ食べる光景なんて、どうも漫画チックに思えて仕方がなく、やったことは無いけれど実際にやったら絶対に可笑しくて吹き出してしまう自信がある。 どうも私の感覚では神聖さに欠けるのだ。 節分であっても、この歳になって子供もいなければ、実際に豆撒きすることもなく、せいぜいイワシの丸干しが食卓に登場するくらいのものである。

そろそろ昼食の準備にかかろうかと思いつつ、天気概況でもやっていないかと点けたテレビで料理を作っていて、それが「太巻き寿司」だった。 節分なので恵方巻きに、という意図だろう。 ものの5分程ぼんやり見ていたら、「そう言えば最近巻き寿司を作っていないな」、「海苔はあるな。 酢飯は冷凍ご飯で足りるな。 具に使うもの、何か持ってたっけ?」、「干し椎茸はあるし、キュウリは無いけど茹でたホウレンソウで代用すればいいし。 卵焼きは焼けばできるな」、「カニかまぼこがあるから、レタスと一緒にサラダ巻きもできるな」、「なんだ作れるじゃん」、「じゃ、そういうことで!」、と、いつの間にかお昼ご飯に急遽太巻きを作る段取りが頭の中で整ってしまった。

実際に作り始めれば、後は早い。 30分後には太巻き寿司が3本、ゴロンと出来上がっていた。 昨夜の鍋もののスープの残りをベースに、白菜や里芋、蕪なんかを煮込んで即席のけんちん汁に。 ちょっと蛋白質が足りないのでおまけにプレーンヨーグルトも食卓に並べる。

迷ったれど、太巻きはいつも通り切り分けて盛りつけた。 やっぱりこれにかぶりつくのは、どうも抵抗がある。 ほだされて作ったのは間違いなくても、久しぶりに太巻き寿司を食べたことには満足だった。 気持ちの上で福を巻き込んで作ったから、それで善しとしよう。 縁はこちらの意図に関係なく繋がったり切れたりするもののように思われるので、太巻きを切ったくらいでは影響も無いに違いない。

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コメント

僕も恵方巻ブームはピンときませんが、太巻きを丸かじりしたいという欲望はあります。実際にやると噛み合わせの悪い僕はかんぴょうとか噛み切れなくて寿司が崩壊するかも。ああ、太巻き食べたくなってきた…

投稿: Mr.Spice | 2009.02.04 11:30

思い立ったが吉日です。 今夜あたり作ってみませんか。 具は「何でも有り」みたいで、スーパーのチラシでは「トンカツ巻き」とか「海老天巻き」などという商品も見つけてちょっと驚いたりもして。 酢飯と揚げ物の味(若しくはソースや天つゆの味)はどの程度マッチするのでしょうか?

案外湿った海苔も噛み切りにくいですよね。 実際に丸かぶりするなら細巻きの方が食べやすいかもしれないです。

細巻きの「かんぴょう巻き」が、長さ2分の1サイズで、長めに切ってあるタイプがあるじゃないですか。 あれを食べる時に一口目でずるっとかんぴょうが出てきてしまった時の哀しさ・恥ずかしさったらないですよね。

投稿: リーボー | 2009.02.04 16:59

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