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2009.04.18

ふともも

このところ「日本語の神」(←抽象的な例えなので『そんなの居るのか?』などと突っ込まないでください。 えっと、ですね、書きたいことが文章になってがんがん浮かび上がってくるようなピリオドもあれば、考えや伝えたいことはあっても文章や表現に不自由な自覚のピリオドもあるわけで、その辺の感覚の違いを完全に自分の責任から押しのけちゃっている、いうなれば他力本願の極み的な例えです。)が、自分から遠ざかっているので、読書にしてもあまり難しい本は読む気になれず、軽い印象のエッセイや旅行記に手を伸ばしている。 いつどこで読むのを中断しても、急に続きを読み始めてもあまり困らないのが何よりだし、センテンスも短いことが多いので、「寝る前にちょっとだけ」にも都合がいい。

その中の一つが、山田詠美著「アンコ椿は熱血ポンちゃん」。 「小説新潮」に連載されているエッセイをまとめて本にしたシリーズの最新版。 相変わらず山田詠美節が炸裂で、ある意味において安心して笑って読める内容だ。 自分の心が低レベルな時、山田詠美さんの「熱血ポンちゃんシリーズ」を読んでいると、勢いで一緒に持ち上げてもらえるような気分になって気持ちがいい。 のだが、今回特筆すべきは、その表紙というか装画である。 山田詠美さんがモデルの似顔絵というか、酒のボトルの上に座っている全身像なのだが、これが非常に良い!! 単に似ているとかそうでないとかのレベルを超えて、山田詠美さんの人となりのようなものまで見事に描き出してある。 一種の感慨のようなものを覚えて頁をめくると、描いたのはあの吾妻ひでおさんだった。 言われてみれば、描かれた山田さんのファッションアイテムや手にしているグラスの中等、いたる所に謎の生物がたくさん居て、いかにも吾妻さんらしくも見える。

吾妻さんご自身も、路上生活者になったりアルコールに依存したり、なかなか濃い人生を歩まれておいでのようだが、たかが絵一枚に、被写体の全てを移し込んでしまうかのようなその力に、思わず唸ってしまうほどだった。 これは単なる漫画手法を使った絵や装画ではなく、ポートレイトだ、と、思った。

吾妻さんのHPに行ってみたら、その原画がアップされていたので、リンクを張っておく。 『ひでお日記』の3ページ目にあります。(トップページではないので、リンク先が変わってしまったら、お許しを。)

個人的に何よりもインパクトを感じたのは、他でもない「組まれた足の下側になっている彼女の右足のふともものライン」だった。 どういう訳かは自分でも分からないのだが、このラインは男性でなければ描けないような気がして。

●「アンコ椿は熱血ポンちゃん」 山田詠美著 新潮社 初版2009年3月 1300円

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