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2009.05.08

月光天文台へ

しばらく前に静岡県下の函南町にある「月光天文台」に行った。 ずっと気になりつつも、なかなか訪れる機会が無かった場所のひとつ。 広い畑が広がる丘陵地の高台に突如現れるドーム型天井を持つ白い建物・・ちょっと不思議な印象すら受ける。

小さいながらも立派なプラネタリウムがあり、7月に起こるという皆既日食についての特集と、現在の星空について上映を見ることができた。 入り口でチケットをちぎってくれた方も、上映する方も解説アナウンスをしてくれている方も全て同一人物という、言うなれば「完全ワンマン上映」であることにも、ちょっとびっくりさせられるが、こんな規模でこんな立派なプラネタリウム上映をしていること自体が既に驚きなので、何があっても納得してしまうような気分になっていた。

(隣のオジサンの寝息が気になったものの)子供のころ以来のプラネタリウムに感動しつつ、続いて別の建物へ移動。 観測に利用する大型望遠鏡や展示室で展開されていた「世界の暦展」を見学する。 驚くべきことに職員(学術員)の方が付きっきりになってひとつひとつ解説してくださる。 当然ながら昼間なので星を覗くことはできないが、太陽を映し出して「黒点が少ない様子」を実際に見せてくださった。 夜は夜で定期的に観測会が行われているとのこと。 良いなあ。

さらに別棟の「地学資料館」。 これがまたとてもコアな感じで良い。 展示品のひとつひとつは(私のように無学の者にとっては)大変に地味な、化石だったり鉱石だったりなのだけれど、こちらも付きっきりの解説のおかげで、目の前の化石の何が凄いのか、この鉱物の見どころは何なのか、「この展示品」と「さっきのあの展示品」はどういう関係なのか、導くように教えていただけるのである。 生物の進化、地球の変化、果ては古代生物の研究が近代建築物に活用されていることなど、ありとあらゆる内容を網羅していて、「地学ってこういうことをやる学問だったのか!」、と、目から鱗の思いだった。(「社会学」にしてもそうだったが、最近学問について再認識させられる機会が多い気がする。)

多分地域の子供たちの団体見学などで、学術員の方々の解説は百戦錬磨なのだろう。  大人になってからこのような詳しい解説を受けられるとは思っていなかったので、テレビ等のサイエンス番組や本で見てきた種々の知識の断片が、次々に頭の中で繋がってゆく感覚が、とても新鮮だった。 さっと一通り眺めただけでは、あっという間に記憶から薄れてしまうが、自分の持っていたほかの記憶と繋がることで点が線になると、その記憶と印象は深い場所に刻まれてゆくのが分かる。

最近は町歩きや美術館、歌舞伎の上演などでも、ボランティアや専門家の解説を受けることができるようになってきた。 時間が許されるのならちょっとお金を払ってでも、私は利用したい。(ちなみに「月光天文台」での解説は無料、と、いうか、入場料に含まれていたと考えればいいのか、ともかく別料金は発生しなかった。) コアな知識を持つ方々に日頃抱いていた疑問を投げかけてみたりするのも、大人としては、また数少ない貴重な機会だと思う。

「長い地球の歴史の中では、一種類の生物ばかりが繁栄し続けるというのは、とても異常なことなんですよ。」、という、学術員さんの言葉が、一番印象的だった。 だからこそ、こんな風に小さなウィルスのアタックで命を脅かされ、またそれを恐れているんだろうな。

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受信: 2012.04.15 20:46

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