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2011.05.28

たまには一人旅 その4

そろそろ夕方。 タクシーの運転手さんに教えてもらったように、気温変化にも注意しなくては。 さすがに歩き疲れたので、吉田川の南サイドにある今夜の宿の方向へ向かう。

途中、橋の欄干で立ち止まって川を見下ろしていると、杖を突きながら散歩している老夫婦に声を掛けられた。 「ここは川もきれいだけど、ほら、ここからのお城の眺めも良いですよ。」 「あっ本当だ。 下ばっかり見て気付いていませんでした。」 「いつも通りながら見上げてるんです。」 山の上にはお城がきれいに浮かび上がっていた。 てっぺんのジャチホコが夕日を浴びて金色に輝いている。 「あっちの通りは『郡上おどり』の通り道。 夜通しだから寝てられゃしません。」 口ではそう仰るが目は笑っている。 『おどり』にはお子さんがお孫さんたちを連れて毎年帰ってくるのだそうだ。 「もうすぐで楽しみですね。」と言うと、「楽しみ半分、疲れるの半分。」 「(来ていたお孫さんたちが)帰るとがっくり疲れが出て、去年は寝込んじゃったっけ、なあ。」とのこと。 それもお祭りのひとつの顔なんだろうな。 「じゃあ今度は気をつけないと。」 「ははは、おおきに。 どうなることやらですわ。 また寝込むのとちがうかな。」 郡上八幡の人たちの言葉には、関西弁、それも京言葉が微妙に混じっているようだ。 お店でも何度か「おおきに。」と言われたのを思い出す。

宿は「夕食無し」での予約だったが、お昼が遅かったし、散歩の途中でつまみ食いや試食・試飲などもしたのでお腹が空いていない。 とはいえ、何も食べないのもちょっと不安だ。 どうしようかなと迷う。

宿のある通りは古い商店街といった雰囲気。 ここでも両側の側溝には水がこんこんと流れ(さすがに蓋をしてある。)、店先に深めの堀を作って錦鯉を飼っている?泳がせている?所も多い。 歩いてみると、定食屋さんと居酒屋さんの中間ぐらいに見えるお店が、ちょうど夜の営業を始めるところで、女将さんが引き戸に暖簾を掛けていた。 そうだ、ビールでも飲みながらちょっと何か摘んで夕食の代わりにしようと、早速入る。 が、実はご近所の常連さんらしきオジサマが二人、もう呑んでいるではないか。 「驚いたでしょう。」 「ここはもうひとつの家みたいなもんでね。」 ・・なんだか凄くアットホーム。

それなりに緊張して入店したけれど、最初の生ビールが空く頃には、何故か既におつまみをシェアする間柄に。 「ここに来たら食べていかんと!」と、強烈にプッシュされた『鶏ちゃん焼き』。 赤味噌風味の鶏野菜炒めみたいな感じで、とても美味しかった。 鶏肉は焼く前にタレに漬け込んであるとのこと。 で、タレの調合は秘密なのだそうだ。 鶏肉から余分な水が抜け、肉の味が濃くてぐっと締まっている感じ。 野菜は何でも良いが、キャベツとタマネギは入れたほうが美味しくなると教わる。 そのうちに真似してみよう。

(残念なことに地元の酒蔵二箇所の日本酒は、どれも私の好みではなかった。 旨みが濃すぎる感じで重ため。 まあこれについては様々なお好みが各自におありだろうから、あくまでも個人的な私感ということで。)

オジサマ方が明日のお昼ごはんはどうするの?、と、聞くので、今日食べ損ねた鰻にしようと思う旨を話すと、お店の女将まで皆一様に冴えない顔をする。 はっきりとは言えないがあまり薦めないといったニュアンス。 「じゃあ、お蕎麦にでもしようかな。」、と、切り替えると、それならば!とばかりに地元で評判のお店をいくつか教えてくれた。 手持ちの地図にまたプロットが増えた。 薦めない理由も気になったが、深く突っ込まずに素直に従うことにする。 色々あるんでしょう、きっと。

一時間強も居ただろうか。 まだまだ「夜はこれから状態」のオジサマ方に見送られ、宿へ。 風も冷たくなって冷え込んでいる。 運転手さんの話、本当だ。 暖かな宿の玄関に迎えられ、「ゆっくり歩いていらっしゃいましたね」と、女将さんの笑顔に迎えられて漸くチェックイン。 小さいけれど清潔感満点のお風呂で温まったら、どどどっと疲れが出た。 良く歩いたものなあ。 軽くストレッチをして22時には就寝。 羽毛布団が用意されたので、さすがに暑いのではとの心配するも、結果としてはちょうどいい塩梅だった。 恐るべし気温差。 (つづく)

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