銀木犀
庭先のギンモクセイがちょうど満開で、厨房の窓から芳香が流れ込んでくる。 だんだん嗅覚が慣れて麻痺してくるのが残念なのだが、別の部屋で過ごしてから厨房に足を踏み入れた時など、思わず深呼吸する。 うっとりするような良い香り。
当たり前のように毎日色々なことがあって、これまた当然のようにあちこち心を動かされて、考えて、選んで、時にはちょっと無茶してみたりしながら、それでもこんな静かで穏やかな秋の一日があると、まるで人生にほっと一息ついているみたいだ。
空が高い。 いわし雲もきれい。
気持ちに余裕がある時には、些細な事はそのまんま見逃せるもので、「まっ、いいか」などとも簡単に思えるというのに、日ごろの自分を省みると、いかに多くのくだらない事に引っかかっていることやら、と、呆れる。 今日は視点まで秋空の遠い所にある。
ギンモクセイの香りを深呼吸して、内部から浄化してもらっているような気分になっている自分を見つける。 くだらないものを溜め込まないように、心に満たしておこう。
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