2013.02.16

カマスゴ

ふと立ち寄ったお店の鮮魚コーナーで、今まで見たことの無い魚に出会った。 「かますご」と書いてある。 白魚を縦横3倍に拡大したような、7~8センチの体長、幅1センチ弱のひょろっとした魚で、茹で、または蒸してあるように見える。

「かますご」なんて初めて聞いたし、どうやって食べるのか見当も付かないので、手に取ったまま躊躇してしまった。 「知ってる?」 「ううん、知らない。」 ・・・ 「まあ魚なんだから、何とかなるでしょ。」という、『ますたあ』の声に押されて買ってみた。

インターネットで調べてみると、イカナゴの成魚ということだが、私の知っているイカナゴとは体表の模様も違えば、色も全然違って、どうもイメージが結びつかない。 目の前のカマスゴは薄い緑色をしていて、イカナゴのシンボル的な側線に沿った青いラインも見えない。 本当に、あのイカナゴの親??  生物は不思議だ。

そのままポン酢で食べるのが一般的なようだ。 ただ、既に加熱してあるものだったから少し気になって、フライパンにごま油を薄く引き、手早く火を通してから、仕上げにポン酢を絡めて皿に移して、青ネギのみじん切りを散らしてみた。

想像したような臭みも無く、上品な白身魚の味。 骨も気にならない。 美味しいじゃないの! これならいろいろな料理に使えそうだ。 オリーブオイルとニンニクで炒めたり、柳川鍋風に出汁醤油でさっと煮て卵とじにしても美味しそう。 キャベツと一緒にパスタも良いかも知れない。 なんだか楽しみになってきた。

近畿圏の方々にとっては、このカマスゴが春を呼ぶ食材のようで、季節物として大事にされているらしい。 一方で魚醤の材料になったり、肥料として畑に蒔かれたり、京都では『下魚』とされていたりもしたらしく、昔は余るほどたくさん取れたのかもしれないな、と、思いを馳せて楽しんだ。

何はともあれ、知らない食材に出会って、それがまた美味しかったりすれば、嬉しさもひとしおだ。 またその内に買ってこよう、と、目論んでいる。 次はどうやっていただこうかな。

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2011.11.26

アディクション

アップルパイを焼いた。 何から何まで自分好みにできるのが、何よりも嬉しい。 好物にはそうでないもの以上に拘りがあるので、「あーフィリングのリンゴがもっとたっぷり入っていたら良いのに」、とか、「もっと甘酸っぱくして欲しい」、とか、「レーズンやクルミは要らないんだけどな」、とか、「クラムはのっけないで、上もパイ生地にして欲しかった」などとブツブツ言っている暇があったら、自分で作ってしまった方が本当は話が早い。

私のアップルパイには一台にリンゴを4つ使う。 で、ぎっしり詰める。 上というか蓋になる部分には細く切った生地を縦横に網状にして、艶出しには卵黄でなく、鍋肌に残ったリンゴの煮汁を使う。 塗って焼き、乾いたらまた塗って・・と繰り返しやると、そこだけ単独でパリパリの甘酸っぱいパイ菓子のようになり、二度楽しめるのだ。

もちろんオヤツの為に焼いたのだけれど、朝、牛乳を飲もうと思って冷蔵庫を開けると、そこに昨日食べた残りのアップルパイが見える。 「そうだった、アップルパイ持ってたんだった!」、と、ニンマリする時には、もう、皿に手が伸びている。 朝からこんなもの食べちゃって良いのかな・・と、どことなく背徳的な気分を自覚しながらも、手は勝手に動いて包丁でザクッといつもより大き目の1ピース分を切り出してしまっている。 トースターで少し温めて、朝食アップルパイだ。 朝から幸せ。 今日最初に口にするものがアップルパイだというだけで、一日何もかも上手く行くような気分になる。 言い訳がましく、「別に朝食がアップルパイだって、菓子パンとかドーナツを食べていると思えば同じようなものじゃないか。 毎日のことじゃなし。 何も悪いことしている訳でもない。」と、思いながら。 そしてまた、オヤツの時間には新たな気分で同じアップルパイ、だ。 本当は昼食も夕食もアップルパイが続いたって、何にも困らない(いや、本心を言えば、かなり嬉しい)のだけれど、『ますたあ』の手前そういう訳にもいかないので、一応普通に食事を作って食べている。 一人暮らししていたら危ないな・・と、思う。 その上、もし、好みのアップルパイを売っているお店を見つけてしまったら、本当にヤバイな、と、怖くなる。

紅玉が手に入る時期が短くて、自分で作るのはそこそこ手間がかかって面倒臭くて、『ますたあ』という監視の目がある位で、ちょうど良いのだ、きっと。 アップルパイと私の関係は、多分ちょっと危ない。 少なくなった残り、味わって食べよう。

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2011.11.23

牡蠣は酒炒りに

震災の影響もあったのか、今年は牡蠣が品薄だったり値段も高かったりで、あまり食卓に上がる機会も多くなく、残念だったのだけれど、ようやくちゃんと手が届く感じに落ち着いてきた。 私は牡蠣に当たった経験が無いから、何の躊躇も無く「わーい!牡蠣、牡蠣!!」だ。 やっぱり牡蠣をしっかり食べないと、冬の寒さで損したような気がする。

和食でも中華でも洋食でも無難にこなす素材だが、やはり鮮度が問題なので、質の良い牡蠣が手に入った時には、ささっと「酒炒り」にしておく。 作り方は簡単。 ご自分のやり方で良いから(大根おろしを使ったり、片栗粉を使ったり、流水で振り洗いするなど、いつものやり方で結構です。)、まず、牡蠣を洗ってザルで水切りする。 鍋やフライパンに日本酒をちょっと多めに入れて(牡蠣10粒に30ccくらい?? いつも適当にどぼどぼ使っちゃってますが、牡蠣がヒタヒタになるのは入れ過ぎです。 なんとなく牡蠣にまとわり付いてるような程度で充分かと。)、牡蠣を入れて平らにならし中火にかける。 そのまま動かさず、日本酒が沸騰した後しばらくして牡蠣がプリッとしてきたら、菜箸でひっくり返して更に加熱。 牡蠣に均一に火が通る程度にたまに鍋をゆすりながら、日本酒が蒸発してほとんどなくなるまでそのまま加熱。 後は冷まして冷蔵庫で保存するだけ。

牡蠣からも水分が出てくるので、鍋肌にくっついてしまうような事は無いから、安心して煮えるのを見ていれば良く、逆にいじりすぎると身が壊れるので注意する。

お刺身のようにわさび醤油で食べたり、ポン酢にも合うし、酢味噌で「ぬた」にしたり、もちろん生牡蠣と同様に料理の素材として使うこともできる。 私の経験だと、清潔に扱えば冷蔵庫で4~5日は楽勝で日持ちする。

年配の方が風邪を引いたりして体調を崩した時に、「一粒ずつ食べるだけでも、何かがずいぶん違って元気になる」と、差し上げた方に何度か言われた経験がある。 グリコーゲンのおかげなのか? 亜鉛が効くのか?? 年配じゃなくても、疲れた時に良いのかも知れない。 食事の作り手としても、下ごしらえの済んでいる素材はやっぱり便利だし。

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2011.10.22

トウチを使う

久しぶりに中華食材(と言うより、調味料か。)のトウチを買った。 ホイコウロウなどの炒め物に入っている黒い粒々、あれだ。 日本の食材の浜納豆がよく引き合いに出されるものの、私は肝心の浜納豆を食べたことが無いので、なんとも。 大豆を発酵させて作るらしく、うまみが充分なのは当然としても、香りも結構強い。 数時間後にトイレに行くと、自分から排出された物の匂いで、「あっ、トウチが使われていたんだっけな」、と、はっきり分かるほどだ。(汚い表現でごめんなさい。) なので、もちろんストレートに「トウチ炒め」で使うのも王道だが、私はもうちょっと控えめに、裏方に徹する感じで使うのが好きだ。

 鶏肉のマヨネーズ炒め

  • 鶏胸肉         一枚
  • ブロッコリー      半株
  • 薄力粉又は片栗粉  大さじ2
  • マヨネーズ       大さじ1と半~大さじ2
  • 醤油          小さじ1弱
  • 砂糖          小さじ半分
  • トウチ          小さじ2
  • ニンニク        半片
  • ショウガ        少々
  • 唐辛子         少々
  • 酒又は紹興酒    大さじ2
  • サラダ油        適宜
  1. 鶏肉は皮を剥がして、筋に沿って大きな2ブロックに切り分けてから、それぞれ繊維に沿って長さ5cm、幅と厚み1cm程度の棒状に切る。 ブロッコリーは小房に分けて、軽く湯通しするか、ラップして電子レンジで2分弱ほど加熱。 ニンニクとショウガはみじん切り。
  2. トウチはまな板の上で包丁の腹で押しつぶしてからみじん切りにする。 マヨネーズと醤油、砂糖は予め合わせ混ぜておく。
  3. 切った鶏肉に酒をもみこんで、薄力粉を全体に絡めておく。(食品用ビニール袋の中で混ぜると片付けが楽。)
  4. フライパンにサラダ油を熱し、トウチ・ニンニク・ショウガを弱火で良く炒めて香りが立ったら、中火にして鶏肉を炒める。 表面に軽く焼き色が付いて概ね熱が通った所で、ブロッコリーを加えて更に炒める。
  5. 充分に素材が加熱されたら、火を止めて、調味料を合わせておいたマヨネーズを一気に加え、フライパンを煽って余熱で素材に絡めて、出来上がり。

●鶏肉は海老やタラ、イカ、カジキマグロ等に置き換えられますし、ブロッコリーの代わりにアスパラやカリフラワー、長ネギ、メークインじゃが芋、キノコ類等を使っても。 複数合わせても美味しい。 要はマヨネーズ味に合う素材なら何でもどうにでもなります。 ●小麦粉を使うと香ばしい感じに、片栗粉を使えばしっとりと柔らかい印象に出来上がります。 お好みで。 ●お子様が居られなければ、唐辛子の輪切り少々をニンニクを炒めるタイミングで使えば、きりっとした味に。 ●マヨネーズは加熱しすぎると分離しますので、火を止めてから余熱で和えてください。

トウチを使っていると必ず頭の中で、『♪お前のトーチライトで夜を照らそう』、という、佐野元春さんの曲が流れてきます。 トーチとトウチ違い。 当然、私のトウチ炒めは何も照らし出しませんけれど、『吠えつかれたら一緒に食べるとするか』! 

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2011.09.23

サトイモとイカと。

ピンポン玉よりひと回り小型のサトイモが、びっしり袋に詰まって売られていた。 ああ、いつの間にかそんな季節になったんだな、と、思う。 大きな台風が縦断してから、めっきり秋らしくなってきた。

隣の魚屋さんを覗くと、立派なスルメイカが特売。 渡りに船とばかりに一杯包んでもらった。 身長もさることながら、肉厚で、むっちりしている。 「よく育ちました!」と、褒めてあげたいくらいだ。

なので、「サトイモとイカの煮物。」

  • サトイモの小芋  10個程度
  • イカ         1杯
  • 砂糖と醤油    大さじ1ずつ
  • 酒          適宜
  1. サトイモは皮を剥き、分量外の荒塩で揉んでから水に入れて下茹でする。 5分ほど茹でてからザルに上げ、水洗いしながらぬめりを落とす。
  2. イカは内臓を取って骨を抜き、1cm弱幅の筒切りに。
  3. 芋が重ならない程度の大きさの鍋に、1のサトイモを入れ、酒を適当に(大さじ1以上)注ぎ、水を足してひたひたにする。 砂糖を加えて火にかけて、沸騰したら弱火にして5分ほど煮る。
  4. イカを加えひと煮立ちしたら、灰汁を軽く取って醤油を加え、煮詰めてゆく。 10分から15分ほど煮たら、味見をして砂糖と醤油で微調整して、火から下ろして冷ましながら味を染み込ませる。
  5. 食べる直前にもう一度温めて出来上がり。

●大きなイカだったので、エンペラとゲソは「わた煮」に回してもう一品作ってしまいましたが、一緒に煮る場合には、ゲソの吸盤のような硬い部分を包丁でこそぎ落としてから、適当に切って使ってください。 ●できれば前日に煮て冷蔵庫で保存しておくと、味が良く染みて手間要らず。 ●私はイカを煮る時には、ダシは使いません。 イカからのダシで充分な気がするので。 濃いダシ味がお好きならば、水をダシに置き換えてくださいね。 ●サトイモはぬめりがあるので、落し蓋を使わなくても、勝手に煮汁が鍋の中で泡立つような感じになることが多いのですが、ぬめりが少なかったら落し蓋を使ったり、適宜鍋をゆすって煮汁を回すなど工夫してください。

丁寧に作る方のレシピなぞを読んでいますと、一度イカに火を通してすぐに引き上げ、もう一度出来上がり直前にイカを煮汁に戻して作ったりなさいます。 私はあんまりイカの煮物で硬くなった経験が無いせいか、いつもどっぷり煮込んでしまいます。 味が染みこんだイカと、イカの味を吸い込んだ野菜という、この組み合わせが好きなんだと思いますね。 確かに上品というよりは、おふくろの味的な大雑把な「家庭の煮物」かも。 ・・でも、ご飯には合いますよ。 あっ、お酒にも、ね。     

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2011.05.31

始めました

お昼ごはんに今シーズン初の冷やし中華を作った。 あれもこれもと欲張って具を乗せた結果、明らかに麺と具のバランスが変な、まるで中華サラダを食べているような代物になってしまい、啜りながら反省・・。

私はこの手の間違いを頻繁に犯す。 インスタントラーメンとか、カレーライスとか、中華丼とかで。 どうしても「具過多」状態になりがちなのだ。 たまに外食で麺類や丼物を食べると、「やっぱり外のは美味しいな」、と、思うことも多い。 そのひとつの理由は間違いなく、炭水化物と具のバランスにあると知ってもいる。 「野菜をたっぷり」などと思いながら作るのと、「ラーメンは詰まる所、麺とスープなんだから」では、出来上がってくる一皿が違っていても当然だ。 日常で食べる料理とたまに食べる料理では、求められる役割が違う。 だからこそ外食が続く方は、気を配らなくてはならないんだろう。

数年前だろうか。 「きょうの料理」で興味深い企画をやっていた。 同じテーマ(その日は『カボチャを使ったメニュー』)で二人の料理人がそれぞれ一品ずつデモンストレーションしたのだが、ひとりは京都の老舗割烹の板長、片や大きな総合病院の栄養科長の管理栄養師だ。 カボチャを大きめに切って、「ここで面取りをして煮崩れを防ぎます」と解説した板長に、早速栄養師が「切り取った部分は金平かなんかにしたら美味しいですよね」と、突っ込む。 「皮目は虎の子(まばらに剥いて剥いた所と皮が残る部分を作ること)に剥いてください。」には、「まあ!皮にはカロテンがたっぷり入っているのに、剥いちゃうんですか? もったいない気がしますね。」、である。 それなりの演出が入っていたのかもしれないが、苦笑しながら面白がって観ていた記憶がある。 料理に求めているものの観点が違うのだから、当然すれ違いが起きる。

体のために、生きるために、私たちは日々食べている訳だが、実は食べることを楽しむためにも食べているのだ。 どの辺りで折り合いをつけるかは、食事を作る人と食事を選ぶ人のどちら側にとっても、やっぱり難しい課題だろう。

次回はもうちょっと上品に、具の少なめな冷やし中華を作ろうっと。  

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2011.05.06

今更ながらの塩麹

「鶏ハム」に続いてちょっとしたヒットとなった「塩麹」。 レシピ本まで出版されたらしいので、それなりに広まっているのだろう。 「ヨシダ・ソース」にしても同様で、普段と違う目新しい調味料を手にすると色々と工夫の余地が生まれ、実験的要素も含めて楽しめるので、毎日の調理の負担が精神的に軽くなる気がする。

Webで読んだり評判を知ってはいたものの、私が実際に「塩麹」を作ったのは、このデイリー・ポータルZの記事を読んでからだった。(『麹と塩と水で作る凄いうまい調味料』) それまでは醸造所からちゃんとこだわりのある麹菌を取り寄せなければならないと思っていたので、それだけで面倒臭くて手が出なかったのだが、記事にあるような「みやここうじ」ならば、この辺りでもスーパーで簡単に買えるので助かった形だ。

手間隙かけなくて良いし、できてしまえば後は冷蔵庫で日持ちするし、とにかく気楽なのが嬉しい。

今のところ生鮭や海老などの魚介類や、鶏肉(モモでも胸でも、手羽でも)を2日ほど漬け込んでから単純に焼いていただくのが、我が家のお気に入りだ。 それから、ありあわせのキノコを一口サイズにして電子レンジでチン!してから、塩麹と混ぜておき、それを豆腐の上に乗せて食べるのも。 「あと一品、ちょっと何か欲しいな。」という時に、他の献立の味付けとかぶらないのが、重宝している根拠かな、と、思う。

仕込んでから一週間から10日で一応出来上がりとされているけれど、その後冷蔵庫で寝かせながら一ヶ月くらい経過したら、本当に良く塩が馴染んで(こなれて、または、枯れて)美味しくなってきた。 前回仕込んだ残りが3分の1くらいに減ってきたので、新しいものを仕込み始めた。 これから気温が高くなってきたら、浅漬けのような野菜調理にも工夫したいと狙っている。

なかなか便利で美味しい「塩麹」、特に普段忙しい方におすすめです。

(追伸: 「塩麹」の作り方は、上記文中のリンク先に写真付きで詳しく書かれています。)

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2011.04.26

ヨシダ・ソース

輸入食材を扱うお店を眺めるのが好きだ。 「なんじゃこりゃ?」みたいな商品を見つけるとワクワクする。 特に素材の水煮缶やシロップ煮、調味料やよく分からないソースの類は、もう見ているだけで楽しくて仕方が無い。 で、いくつか「怖いもの見たさ」ならぬ「怖いもの食べたさ」の誘惑に負けて買ってしまうのが常。

かと思えば、いつも気にしているのに迷いつつも買わなかったものもあって、その代表格が『ヨシダ・ソース』だった。 アメリカでテリヤキと言えばヨシダと決っているほどに、現地では有名だと聞くが、照り焼き味は砂糖とみりんと醤油で簡単に作れるし、普段着の和食とは切っても切れない関係で食卓にもしばしば登場するから、わざわざ買うには踏ん切りがつかなかったのである。

そんなこんなしている間に、かれこれ20年近くが経過し、そろそろ踏ん切りをつけたいと思っていた矢先、ちょっとしたきっかけを得たので、えいやっ!とばかりに一瓶買ってみた。

結果としては「甘さの強い照り焼き味」・・そのまんま。 ちょっと醤油を足さないとウチではつらい。 でも、煮詰めなくてもトロミが付いている様子は、使いようによっては便利なのかもしれない。 不思議なのは香りで、これは何か特別な良い香りがするのだ。 醤油とみりんと砂糖を煮詰めただけでは、こんな芳香はしてこない。 スモーキーなものではなく、どちらかというとバニラっぽい甘い香りで、食欲がそそられる良い香り。 香りの調合は完璧だ。 魚介類を相手にした時にも、この芳香のおかげで生臭さが一気に消える。 外国の方は魚の匂いには敏感なので、評価が高いのも頷けるが、逆に、日本人の感覚から言わせて貰うと、魚が魚たる所以まで消されてしまう印象で、「この味でこの香りだったら、素材に何を使おうが同じ味に出来上がってしまう」、と、感じる。 たかが照り焼きでも、何を美味しいと感じ、何が邪魔だと思うかで、好みや国民性がはっきりと現われる様で面白い。

とりあえずオーソドックスに鶏やブリ・厚揚げなどと合わせてみたが、まだ相当量残っているので、色々とチャレンジしてみたいと思っている。 海外の「じゃじゃ馬調味料」をどのように調教し手懐けてゆくかも、ある意味においては腕の見せ所か。

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2010.04.07

鯵を焼く

魚屋さんで中型の鯵が売られていたので、2匹包んでもらってきた。 せっかくいい鯵を手に入れたというのに、なんだかんだでくたびれてしまって、お刺身を造るのが面倒だし、生ものを口にするのもこんな時はちょっと心配だ。

しばらく考えてから、春っぽい素材と共に変則の二杯酢でいただくことにした。

鯵を普通に塩焼きに。 どうせ後で皮は剥いでしまうから、ゼイゴもそのまんま。 こんがりと焼けたら冷めないうちに皮や骨を除き身をほぐす。 春キャベツ2枚をさっと茹で、同じお湯で新物のワカメも湯通し。 キャベツは絞って半分に切ってから1cm幅程度に切り、ワカメも適当に切る。

酢大さじ3、醤油大さじ1強、みりん大さじ1、砂糖ほんのひとつまみを、小型の耐熱容器に合わせて電子レンジで20秒ほど加熱し、軽く沸騰したところにショウガのみじん切りを小さじ1ほど混ぜて冷ます。

大葉2枚を軸を除いて適当に刻み、切った茹でキャベツに合わせ混ぜる。 器に3つの山を作るように、キャベツ、鯵、ワカメをこんもり盛り合わせ、食卓に並べる直前に調味酢を上からかけてできあがり。

疲れた時にはお酢が嬉しい。 塔菜のお浸し、厚揚げの煮物、新ジャガのお味噌汁と一緒に、あっさりとシンプルにお腹の負担も少ない和食の夕飯になった。

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2010.03.25

紅しょうがの赤に怯む

「紅しょうが」をとても久し振りに買った。 あの毒々しい色に引いて躊躇してしまい、手が伸びなかったのだ。 しかし、実際に手元に置いてみれば、焼きそばのようなソース味のものや丼物にも相性が良く、一度に食べる量は多くないので派手な赤色もさほど気にならずに、美味しく食べている。 特別に思い当たるものも無いけれど、どこか懐かしいような雰囲気を持っているような気までして。

これまた真っ赤の、たっぷりの漬け汁がパッケージに残され、そのまま流して捨ててしまうべきかと悩む。 手に袋を持ったまま、しばし「うーん・・」と固まった。 やっぱりこの派手な赤色と付き合うのは勇気が必要なのだ。 でも、味そのものは美味しい事も判っているから、ダメで元々のつもりで再利用にエイヤッ!と踏み切った。

大根5cm分くらい。 皮を剥いてから薄めのいちょう切りに。 食品用ポリ袋に切った大根と塩小さじ1弱を入れ、ポリ袋の上からよくモミモミして30分ほど放置。 そのままギュッと絞って出てきた水分を捨てる。 ポリ袋に残った大根に、今度は紅しょうがの漬け汁を大さじ4ほど加えて、もう一度袋の上から軽く揉んで馴染ませ、空気を抜いて口を縛り一晩冷蔵庫で寝かせる。 盛り付ける時に、袋の口をハサミで切ってから下を向けて、袋の上から軽く絞り、それで出来上がり。

簡単に言うと、「大根の紅しょうが汁即席漬け」になる訳だが、これが意外なことになんとも上品な桜色に出来上がって、作った本人が一番びっくりした。 さぞかしド派手な真っ赤に漬け上がるものと覚悟していたのに、素晴らしいくらいにスッコーンと裏切られ、しかも、さっぱりと酸っぱくて美味しい! 文句無しだ。 うっかりお花見のお弁当に入れたいくらいの出来栄えになってしまった。

こんな再利用方法があるのなら、次回からは「紅しょうが」購入のハードルが下がりそうな予感。 機会があれば、捨てる前にもう一度使ってやってください。

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