寝起きの布団の中で、そろそろ道路も空くだろうからぶらりと出かけてみようかという話になり、気が変わらぬうちにと朝食も摂らずに出発。 西へ向かう。
『ますたあ』が「いつか機会があれば・・」と調べておいてくれた場所へ。 なんと、お茶畑で有名な牧之原台地で、昔原油が採掘されていた場所があると言う。 『ますたあ』は小学校の社会科(今は生活科なのか。)の時間に習った覚えがあるらしいが、当時から社会科を丸投げしていた私は、お恥ずかしいことに全く覚えていない。 新潟の油田は聞いたことがあったものの、こんな太平洋岸で原油が出るとは驚きだ。
相良油田は埋められて一面の茶畑と化している。 その一区画を整備して公園を作り、採掘小屋の復元がなされ、ちょっとした資料館のようなものも作り、一基だけ今でも原油が採掘できる櫓組みが残されていた。 見ると昭和30年に閉山されたばかりとの事で、ほんのちょっと前の話なのだと知り、またびっくり。 人力で採掘していた時の様子などを知るにつれ、「よくこんなことをやっていたものだ」と思う。 地上から空気を送り込むシステムなどちゃちと言うか、あまりに原始的で、「こりゃあ事故も絶えなかっただろうな」と容易に想像が付く。 ちょっと重苦しい気持ちに反して、芝生が植栽された公園内では、地元のお年寄りたちが新春のグランドゴルフ大会をやっていて、のどかな雰囲気が広がっており、救われたような気分になる。
資料館の管理人の方に質問をしたら、「待ってました!」とばかりに管理室から出て来て丁寧に色々と話してくださった。 去年の11月に採取したばかりの、瓶に入れた原油を見せてもらう。 「まだこんなにちゃんとしたのが出てるんですよ。」と、誇らしげだ。 原油としては世界的に見ても類を見ないほど良質であるらしく、製油しなくても、そのまんまエンジンに投入すればちゃんと起動するとのこと。 量が出ないのが本当に残念。 この原油高の折、もしも間違っていたら日本経済を動かしていたかもしれないのに・・。
たくさんの鉱山夫たちで賑わっていたという集落跡を流し、事故で亡くなった方たちの慰霊碑を見つけて頭を下げたりしながら、お茶畑の間をドライブ。
お昼は、まだお正月ということもあってか、惹かれるお店を見つけられなかったので、珍しく「ほっかほっか亭」のお弁当をテイクアウトすることに。 店内で出来上がりを待っていたら、同じく待っていた作業着を着た若い男性が「ダイハツさま~!お待たせしました!!」の声に呼ばれて立ち上がった。 「から揚げ弁当の大盛り、9人前ですね。」 両手にお弁当の山をぶら下げて店を出てゆく姿に圧倒されていたら、今度は「トヨペットさま~!」に、OL風のオネーサンがキャッシャーへ。 11人分で6000円近いお会計らしい。 なんだかこの辺の車屋さん達は、今日のお昼ご飯は皆ここのお弁当のようだ。 私たちもオーダーしたお弁当を受け取って、静波海岸まで移動する道路際に、「あっ、ここダイハツのお店だ。」 「あっ、ここのトヨペットさんだ、きっと!」・・今頃奥の休憩室で、従業員さんたちがお弁当を広げている光景を想像して、思わず笑ってしまう。 お正月からお仕事ご苦労様です。
静波海岸は人気もまばらで、穏やかな海がのどかに広がっていた。 船を遠くに見ながら、海風に当りながらのお弁当は正解で、ひねもすのたりのたりかな、いかにもお正月という気分を満喫。 久し振りのお弁当はちゃんと温かくて、美味しくいただいた。
エネルギー系続きで、浜岡原発の隣にある「浜岡原子力館」へ。 これはよくある科学館みたいなもの。 お子ちゃま方で賑わっていた。 プルサーマルについて判り易く展示されていたが、理想と現実のギャップを知っている大人にとっては、丁寧な解説もどこか空しい。 基本的には「如何に安全であるか」を強調しているのも、どこか哀しい。 現在日本各地で発電している原発の一覧が壁に貼り付けられていたが、新潟県下や浜岡原発など一部を訂正するように、大きなテープが上から貼り付けられ、隠してあるのが生々しく思えた。 走り回りながら空いているブースに飛び込んでは、ちょっとした端末を操作してクイズや謎解きなどを楽しんでいる子供たちを横目に、大人として何を伝えるべきなのか、彼らはここで何を印象に残すのか、頭を抱えたい気持ちになった。 「これで良いのかなあ?日本って。」・・ぶつぶつ。
途中なんとなく通りがかったお菓子屋さんで、なんとなく買ってしまった「生クリームどらやき」のバナナ味とメープルシロップ味を半分ずつ味見したりしながら、帰途へ。
以前からずっと気になっていたのに、立ち寄るチャンスの無かったインド料理店で夕食。 富士の国道一号線沿いに在り、交通量も多くて直線道路でそこそこスピードも出ている場所なので、「気合を入れないと」通り過ぎてしまう。 その上、外装にお金を掛けないタイプの外見と看板で、見ようによっては「ちょっと怪しげな感じ」(失礼。)で、入店に踏ん切りが必要だったのだ。
「アラムインドレストラン」では『マトンカレー』と『豆のカレー』をセットで頼み、チャイも。 豆は二つ割にしたレンズマメだった。 久し振りにちゃんとしたインド料理で、辛さもオーダーできる。 何よりも驚いたのはリーズナブルなこと。 東京で食べたら一人3000円近くはとられそうな料理が、1000円程度に設定されているので、驚くやら感心するやら。 他の客が居なかったせいか、インド人の御主人がわざわざ出て来て挨拶してくれた。(ホールは日本人の奥様が担当のようだ。) 以前は沼津の仲見世通りで営業していたらしいが、所用で一年ほどインドに戻り、帰ってきてから改めて開業したとのこと。 わざわざ昔からのファンのお客さんが通って来てくれていると喜んでいらした。 気さくな御夫婦。 スパイシーだがとても体に優しい感じのする料理で、手を抜かずにちゃんと作られている。 ちょっと日本人向きにアレンジし過ぎている気もしなくは無いが、全く抵抗無く美味しく食べられるバランスは見事だと思う。 こういった料理はなかなか都市部を離れると受け入れられないようで、私たちもお店探しに苦労するのだが、ここはまた食べに行ってみたいと思える店だった。
私たちが食事をしているホールの片隅で、御夫婦の息子さんがお正月休みの宿題を片付けていた。 本を5冊も読まなければならないのに、おじいちゃんの家で遊び呆けて、まだ全然読めていないらしい・・。 どうなったことやら。
とりあえず新年一発目のおでかけも、美味しいものに恵まれて、幸せに帰ってきた。 静岡県は大きくて、伊豆半島を出るだけでも雰囲気がガラリと変わるし、習慣や風習も全然違うようだ。 面白いなあ、と、思う。